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2021年の締めくくりは、個性豊かな冬野菜の競演。野菜料理を楽しみましょう

2021.12.31

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

冬野菜のおひたし


冬野菜のおひたし

今日は「夏野菜のおひたし」に続いて、冬版のおひたしです。野菜のおひたしは六雁オープン当初から出し続けている看板料理です。たくさんの野菜を五味(甘い、塩辛い、酸っぱい、苦い、辛い)五法(焼く、煮る、揚げる、蒸す、生)を駆使した調理法で一皿に凝縮し、複雑でおいしい野菜のハーモニーを創り出します。

オープンして1年くらい経った頃、六雁のおひたしを取材された記者の方に「ミシェル・ブラスのガルグイユ(Gargouillou)にも負けませんね」と言われたのですが、当時の私には「それ誰?」の状態でした(笑)。その後調べると、和食とフレンチでカテゴリーは違っても料理の構成法や素材への姿勢に関しては、確かに共通するものがあることを知り驚きました。ブラスの登場以来、第一線のフレンチで野菜料理といえば、いまだにガルグイユもどきばかりですね。それくらいインパクトのある稀有な野菜料理ということになりますが。


ガルグイユはミシェル・ブラスを代表する料理で、彼がオーベルジュを構えるフランス中南部オーブラック地方の郷土料理のアレンジです。土地の四季折々の野菜や香草、野の花、きのこなど数十種類を最適な別々の調理法で仕立てて、バターとハムでまとめた料理です。

ブラスは有名レストランで修業したことはなく、オーベルジュを営む母の元で学び、古い文献を読み、独学で独自の料理観を築き上げました。家族への愛情を大切にし、それは料理をする喜びにも通じていると言っています。

ブラスはプロの料理人の既成概念や習慣に縛られず、野菜に真摯に向き合い、母が家族に作る愛がこもった料理からインスピレーションを得て、一流のシェフとなりました。この連載でお伝えし続けている「プロよりおいしい野菜料理」が皆さまの手で実現できることをブラスが証明しています。

ガルグイユという名は擬音語で液体の音であり、自然の小川のせせらぎ、“水”の音です。ブラスの料理と六雁のおひたしを並べて語るなどおこがましい話でしたが、どうか“水”に流していただければ幸いです(笑)。

読者の皆さまのおかげで半年間、連載を続けることができました。来年も、おひたしのように具だくさんで野菜料理を紹介してまいります。来年も野菜料理を楽しみましょう。よいお年をお迎えください。


ちょっとしたコツ


・「冬野菜のおひたし」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・最近の青菜類はあくが少ないので茹でた後、水にさらす必要はない。むしろ、水にさらして風味を失うことに注意する。

・1種類の野菜のおいしさを味わうひたしの場合は、青菜を調味出汁に漬けないほうがよいが、複合味のひたしの場合は調味出汁に漬ける。それによって素材同士をなじませると同時に、全体としては薄味でも水っぽくならないようにする。

・野菜を加熱する目的は細胞壁同士をくっつけるペクチンを90℃以上に加熱して溶かすこと。茹でる、蒸す、電子レンジによる加熱、無水鍋による無水調理など、どの加熱法でも目的は変わらない。

加熱方法によって、野菜の味に与える影響は異なる。加熱によって細胞が壊れると野菜から水分が流出する。蒸しや電子レンジ、無水調理による加熱の場合、滲出した液体が細胞のまわりに保持されるため(野菜の種類にもよるが)甘くなる茹でると滲出した液体が湯の中に出ていくため甘みが薄くなる。ただ、えぐみや苦みがある野菜の場合は茹でるほうがよい。いずれにしても野菜の特徴、質、鮮度、使用目的などを考慮して最適の加熱法を選択する。







「冬野菜のおひたし」


冬野菜のおひたし

【材料】
下記の野菜に限らず、自由に組み合わせる。

季節の青菜と定番素材(すべて適量)
・水菜

・春菊

・芹

・ほうれん草

・大根

・キャベツ

れんこん甘酢漬け

きのこのカリカリ焼き

焼き白菜

・揚げじゃがいも

・揚げごぼう

追加で加える季節野菜(各種料理法で、すべて適量)
焼きゆり根

煮かんぴょう(薄味)

じゃがいも梨もどき

かぶ(白、黄)

紅芯大根りんご酢和え

金柑ビネガー煮

黒豆薄蜜煮

下味用出汁、かけ出汁
どちらもかつお節と昆布の出汁でも、ベジタリアン用に昆布出汁でもよい。
・下漬け調味出汁 適量
出汁180cc、塩0.3g、薄口醤油12cc、日本酒5cc

・美味出汁 適量
出汁4:濃口醤油1:日本酒1:みりん0.8の割合

【作り方】
1.青菜類は適宜切って、それぞれ茹でて冷水に放し、冷めたらざるに上げて水気を絞る。下漬け調味出汁に漬ける。

2.大根は5mm角×3cm長さに切って薄く塩(材料外)をふり、水分が出たら軽く絞る。キャベツは適量を皿に入れ、蒸気が立った蒸し器に入れて火を通し、薄く塩(材料外)をふり一口大に切る。

3.揚げじゃがいもを作る。じゃがいもを櫛刃をつけたスライサーで1.5mm角×5cm長さで縦にスライスする。水に放してでんぷんを流し、ざるに上げて水気をきる。じゃがいもを160〜170℃の揚げ油でカリッと揚げ、クッキングペーパーに広げて余分な油を除く。

4.揚げごぼうを作る。ごぼうは5cmに切って櫛刃をつけたスライサーで2mm角×5cm長さのせん切りにし、さっと水で洗って水気をきる。150〜160℃の揚げ油できつね色に揚げてクッキングペーパーに広げて余分な油を除く。

5.季節野菜はそれぞれに調理したものを適宜切る。

6.1の青菜を下漬け調味出汁から引き上げ、食べやすい大きさに切って軽く絞る。青菜をボウルに入れて美味出汁を注いで混ぜ合わせ、軽く絞ったら、大根、キャベツ、焼き白菜、れんこん甘酢漬け、きのこのカリカリ焼きを混ぜる。

7.器に5を盛りつけ、新しい美味出汁をかけ、その上から5の季節野菜を彩りよく加え、揚げじゃがいもと揚げごぼうを添える。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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