レシピ

揚げたこんにゃくが驚くほどおいしい!体の芯から温まる長ねぎの汁ものです

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

焼きねぎと揚げこんにゃくの丸仕立て

焼きねぎと揚げこんにゃくの丸仕立て

寒くなってきました。風邪をひかないようにこれからおいしくなるねぎをたっぷり使った汁もので温まりましょう。風邪をひいたときの民間療法に「焼いたねぎを首に巻く」というのがありますね。ねぎには風邪の予防や症状を和らげる効果があるとされますが、首に巻いてもその成分が皮膚を通して体内に吸収されるというのはどうも無理がありますね(笑)。首に巻いてもダメかもしれませんが、おいしく温かく料理して食べれば、間違いなく風邪に有効です。

ねぎの白い部分にはアリシンという栄養素があり、風邪に効果的な殺菌作用と炎症を抑える働きがあるそうです。血行促進や疲労回復効果もあり、体が温まって発汗、利尿作用が活発になります。アリシンは焼くと抗酸化力が高まるので、今日の汁ものはまさにうってつけなのです。

焼きねぎと揚げたこんにゃくを具材にして日本酒を効かせた汁ものにし、仕上げに生姜の絞り汁を加えます。風邪の予防や症状緩和のために作ったような料理ですが、実は焼きねぎの丸仕立てという昔からある料理なのです。丸とはスッポンのことを指し、その由来はすっぽんの甲羅が丸いことから。そして丸仕立てとはスッポンを調理する際の作り方(仕立て方)で、スッポンを多めの酒と水で炊いて味を整えます。

スッポン以外の食材でもたっぷりの酒を使って同様の作り方をした汁を丸仕立てと呼び、今日紹介する汁ものはこれに当たります。コラーゲンが豊富なスッポンの身に見立てて揚げこんにゃくも加えるので、もどき料理とも言えるかもしれません。こんにゃくは揚げるとしっかりとした食感に変わり、これを入れた汁ものは油分も加わっておいしくなります。さらに味噌仕立てにして粉山椒をふれば精進料理のたぬき汁に化けます。

古狸に化かされるのはいやですが、だまされたと思って今回の丸仕立てをお試しください。腹鼓級のおいしさです(笑)。野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「焼きねぎと揚げこんにゃくの丸仕立て」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・ねぎは焼く前に竹串や千枚通しで満遍なく突き刺しておくと火が通りやすい。

サラダ油をねぎ全体に塗って焼くと油の旨みが浸透しておいしくなり、綺麗な焦げ目もつく。

・下仁田ねぎなどの太ねぎを使う場合はサラダ油を塗って2.5cmの厚切りにして深皿に並べ、日本酒をかけ柔らかくなるまで蒸す。とろけるように柔らかくなったものにグリラーで焼き目をつけるとよい。

焼いて甘みが出たねぎと生のままの吹雪ねぎを合わせることで、甘みと辛みのバランスを好みに調整し、ねぎのおいしさを堪能する。


「焼きねぎと揚げこんにゃくの丸仕立て」

焼きねぎと揚げこんにゃくの丸仕立て

【材料(2人分)】
・白ねぎ(焼きねぎ用) 18cm

・サラダ油 少々

・白ねぎ(吹雪ねぎ用) 4cm

・絹ごし豆腐(縦3cm×横4.5cm×2cm厚さ) 2個

・白こんにゃく 1/4丁

・揚げ油 適量

・昆布出汁 適量

・出汁 400cc
かつお節と昆布の出汁でも、ベジタリアンは昆布出汁などでもよい

・日本酒 大さじ2

・塩 1g

・薄口醤油 小さじ1

・水溶き葛粉(片栗粉でもよい。葛1:水2を溶く) 10cc

・おろし生姜 適量

【作り方】
1.焼きねぎを作る。白ねぎは火が通りやすいように竹串や千枚通しで満遍なく突く。表面にサラダ油を塗り予熱したグリラー(オーブントースター)で両面をきつね色に焼いて3cm長さに切る。

2.吹雪ねぎを作る。白ねぎに縦に半分の深さまで包丁を入れ、白い外側をはがす。白い外側を1枚ずつ広げて5mm角に切る。「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照。

3.白こんにゃくはスプーンで一口大にちぎり、下茹でして水に放しあくを除く。水気を拭いたこんにゃくを170℃に熱した揚げ油に入れて薄いきつね色になるまで揚げる。

4.鍋に昆布出汁(なければ湯でもよい)を注ぎ、絹ごし豆腐を入れて火にかけ温める。

5.別の鍋に出汁を注いで火にかけ90℃くらいになったら調味料をすべて加えて味を整える。水で溶いた葛粉を少量ずつ加え混ぜて薄いとろみをつける(味をつけた後にとろみをつけること。手順を逆にすると粘度が増して舌をヤケドすることがある)。あくまでも汁ものなので薄いとろみでよい。弱火で10秒ほど炊いて粉臭さをなくす。

6.温めた絹ごし豆腐の水気をきって椀に盛る。豆腐を温めた熱い昆布出汁に3の白こんにゃくを入れて油抜きする。豆腐の上に焼きねぎをのせ、手前に水気をきった白こんにゃくを盛る。5の出汁を注いでおろし生姜を添え、上から吹雪ねぎを散らして供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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