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味噌と具材を葉で包んだ朴葉焼き。ホットプレートで温めながら食べるのがおすすめ

2021.11.20

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

秋野菜の朴葉焼き


秋野菜の朴葉焼き

朴葉焼き(ほおばやき)は飛騨高山地方に伝わる郷土料理(地元での呼称は朴葉味噌)で、朴葉の上に味噌を広げてねぎや生姜などの薬味や山菜、きのこ類を混ぜて焼いたものです。それを某有名料亭が巧みに取り入れ、豪華なもてなし料理に昇華させ全国に広まりました。

飛騨の冬は厳しく漬けもの樽の中の切り漬けが凍ることも度々だったようで、凍った漬けものと自家製味噌を朴葉の上で合わせ、温めて食べたことが発祥ともいわれます。多く自生している朴の葉である朴葉は大きく丈夫で燃えにくく、殺菌作用もある上によい香りもするので打ってつけだったのでしょう。


一般的に朴葉味噌は味噌に酒やみりん、砂糖などを加えて、玉味噌(「生姜味噌」参照)のように甘めの味にします。甘い味は一般的に好まれるのですが、朴葉焼きに肉類を加えると、その甘さをくどく感じてしまうこともあります。そこで、今日は甘くない鉄火味噌を使った朴葉焼きをご紹介します。野菜料理の連載ですから具材に肉類は加えませんが、刻んだ野菜を練りこんだ甘くない味噌で秋野菜を食べると、ついついお酒が進みます。鉄火味噌は朴葉焼き以外にもおにぎりに塗って焼いたり、これまで紹介してきた田楽など玉味噌を使う料理にも使えます。甘めの味が苦手という方にはぴったりの大変おいしい味噌です。冷蔵庫で保存すれば1か月は日持ちしますので、まとめて作り置きできます。

朴葉焼きは十分に水を吸わせた朴葉に味噌と具材をのせて、飛騨コンロと呼ばれる卓上コンロにのせて供します。家庭ではホットプレートにアルミホイルやオーブンペーパーを敷いて、その上に濡らした朴葉をのせ、味噌とあらかじめ火を半分ほど入れた具材を温めながら食べるのはいかがでしょう。お好きな具材も加えて熱燗と一緒に、野趣あふれる野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「秋野菜の朴葉焼き」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・鉄火味噌は、八丁味噌にみりんと黒ごまペーストをあらかじめ混ぜておいたものを数回に分けて加えて練る。味噌をじかに加えると練りにくく焦げやすい。

・下仁田ねぎなどの太ねぎは、柔らかくて加熱すると大変甘くなるが、グリラーなどで焼くと糖度が高いため芯まで火が入る前に外側が黒く焦げてしまう。そうならないよう、ねぎを竹串で満遍なく刺して表面にサラダ油を塗り、アルミホイルに包んで蒸し焼きにする。芯まで火が通ったらアルミホイルを外し表面に程よく焼き目をつける。とろけるように柔らかいものが食べたければ、サラダ油を塗り長さ2.5cmに切って皿に並べ、日本酒をかけ柔らかくなるまで蒸してから、グリラーなどで焼き目をつけるとよい。







「秋野菜の朴葉焼き」


秋野菜の朴葉焼き

【材料(3人分)】
・鉄火味噌 適量
作りやすい分量:八丁味噌(粒状ではなく濾したもの)250g、ごぼう・にんじん・れんこん・生姜(それぞれみじん切りに)各25g、赤唐辛子(輪切り)1/2本、粉かつお25g、みりん50cc、ごま油15cc、黒ごまペースト(市販品)15g

・下仁田ねぎ(飛騨ねぎなど、他の太ねぎでもよい) 15cm

・栗 3個

・ゆり根(外側の大きな鱗片) 3枚

・ぎんなん 6個

・むかご 6個

・粟麩(他の生麩でもよい) 2cm角×9cm長さ

・こんにゃく 35g
こんにゃくに下味をつける煮汁:出汁150cc、濃口醤油大さじ1、みりん大さじ1/2、赤唐辛子少々

・しいたけ 3枚

・まいたけ、しめじ 各1/2パック

・日本酒 少々

・塩 少々

・サラダ油 少々

・いりくるみ 少々

・揚げ油 適量

・朴葉 3枚

【作り方】
1.鉄火味噌を作る。鍋を中火にかけ、ごま油をひいて赤唐辛子を入れる。ごぼうとにんじんのみじん切りを加えて炒め、続いてれんこん、生姜の順で加え炒める。野菜を炒めたら弱火にして、八丁味噌にみりんと黒ごまペーストをあらかじめ混ぜておいたものを数回に分けて加え、野菜とよく混ぜる。味噌がふつふつと沸いてきたら焦がさないように鍋の底からよく混ぜ、鍋のまわりについた味噌もゴムヘラで落として満遍なく火を入れる。味噌が沸いてから3分ほど練ったら、粉かつおを入れ全体に混ぜて火からおろす。バットに広げてラップをぴっちり貼りつけて冷ます。

2.下仁田ねぎは長さ2.5cmに切り、皿に並べて日本酒を少々かけ、柔らかくなるまで蒸して、予熱したグリラーなどで焼き目をつける。栗は鬼皮と渋皮をむいて10〜15分ほど蒸して、予熱したオーブントースターで焼き目をつける。ゆり根は3〜4分蒸して、予熱したオーブントースターで焼き目をつける。ゆり根の下処理は「ゆり根のかき揚げ、揚げ出し」参照。

3.ぎんなんは殻と薄皮をむいて120〜130℃の油で翡翠色に揚げる。むかごは洗って165〜170℃の油で中まで火が通るように素揚げして皮をむく。むかごの皮のむき方は「むかご飯、むかごとぎんなんのかき揚げ」参照。くるみは160℃の油で揚げる。粟麩は200℃の油で、返しながら一気にきつね色に揚げる。

4.こんにゃくは一口大に切って下茹でした後、出汁と調味料で炊いて20分以上味を含ませておく。茹でただけでもよい。

5.しいたけを焼く。「焼きしいたけ」参照。まいたけとしめじは一口大に切って日本酒で湿らせて塩をふり、予熱しておいたグリラーで焦げ目がつくくらいに焼く。

6.朴葉は水に30分つけて十分に水を吸わせておく。朴葉は今の季節、山や大きな公園などに散っているのを見かけるが、ネット通販でも簡単に入手できる。朴葉を清潔な布巾で拭き、その上に出汁(分量外)や日本酒で好みの堅さにゆるめた鉄火味噌をのばす。ねぎ、栗、ゆり根、ぎんなん、むかご、粟麩、こんにゃく、しいたけ、まいたけ、しめじを盛り、揚げくるみを小さく割って散らす。具材を盛った朴葉を、アルミホイルやオーブンペーパーを敷いたホットプレートの上にのせて温めながら食べる。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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