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緑の野菜をたっぷりとれる料理を2品紹介。旬の小松菜をアレンジしました

2021.11.05

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

小松菜の松の実焼き、ごま和え


小松菜の松の実焼き、ごま和え

関西の菊菜と関東の春菊の違いについて「春菊のひたし」でお話ししましたが、同じく関西ではかつてあまりなじみのなかった青菜に小松菜があります。

小松菜は江戸時代初期に現在の江戸川区の小松川(名前の由来になったといわれる)あたりで栽培され始め、後に東京近郊でも栽培されるようになり、関東では古くから親しまれてきた野菜です。そして東京以外の大都市近郊でも生産されるようになったのはしばらくたってからのようです。


小松菜の松の実焼き、ごま和え

現在は通年の栽培・収穫が可能になりましたが、本来の旬は冬で、関東地方では白菜と並ぶ代表的な冬の野菜です。ビタミンAや鉄などのミネラルも豊富で、カルシウムは野菜の中でもケールに次いで多く含まれます。アクが少なくあっさりした味わいで料理の用途は広く、関東では雑煮に欠かせません。

青菜と鶏が入っている雑煮は日本の多くの地域にありますが、それを「名取り雑煮」と呼ぶことがあります。江戸は武家社会の中心地であったことから、戦いに勝って名を上げるということで、「名」は小松菜、「取」は鶏をあて、名取り雑煮で立身出世を願いました。また、すまし仕立てにするのは「みそをつける」ことを嫌ったためとも。

雑煮の話になってしまいましたが、このように関東ではなくてはならない小松菜を、今日はもち粉をまぶして丸く焼きます。武士の縁起担ぎで「名(菜)を持ち(餅)上げる」というのもあるようです(笑)。小松菜の“松”つながりで、松の実も合わせて香ばしさと旨みを加えます。もう一品は小松菜を中心とした晩秋の青菜の共演です。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「小松菜の松の実焼き」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・もち粉や衣はあくまでもつなぎなので最小限にする。

・小松菜にまぶした塩昆布と焼き上がりに塗る醤油のグルタミン酸と、削り干ししいたけのグアニル酸の相乗効果で旨みが増す。

・ごま油を使って焼くとおいしくは感じるが、小松菜の風味が弱まるのでサラダ油を使う

好みで一味唐辛子などの刺激を加えてもよい。

・「小松菜のごま和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・あっさりした小松菜に水菜の食感、せりとにんじん葉の風味、白菜(葉)の軽やかさ、それぞれの個性が合わさって一つの調和をなすように量の配分を工夫する。







小松菜の松の実焼き、ごま和え

「小松菜の松の実焼き(左)」


【材料(3人分)】
・小松菜 1束

・もち粉(薄力粉でもよい) 少々

・衣 適量
作りやすい分量:水50cc、全卵1個 、薄力粉40g、片栗粉10g

・塩昆布(みじん切り) 少々

・松の実(軽くいる) 適量

・サラダ油 少々

・濃口醤油 少々

・削り干ししいたけ(干ししいたけの粉末でも可) 適量

【作り方】
1.小松菜は根元を切って土がついていないか確認しながらよく洗う。鍋に湯を沸かし塩(材料外)を加え、小松菜を長いまま入れて堅めに茹で、水に放さずざるに上げる。

2.小松菜の水がきれたら乾いた布巾(クッキングペーパーでもよい)に広げて、上からも布巾をかぶせて手で押さえ水気を除く。ボウルに移して小松菜にもち粉をまぶした後、まな板の上で小松菜数本をぐるぐると直径6cmくらいに平たく巻く。「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照。

3.焼くための衣を作る。溶いた全卵に水を合わせ薄力粉と片栗粉を加えてよく混ぜる。この衣で焼くとさっくり焼き上がるが、もっちりした焼き上がりが好みなら薄力粉の半量をもち粉に替える。

4.3の小松菜に塩昆布と松の実を散らし、その上から大さじ2弱くらいの衣をスプーンで全面にのばすようにかける。あらかじめ火にかけてサラダ油をひいておいたフライパンに、小松菜をフライ返しですくって入れ、両面をカリッと焼き、刷毛で表面に醤油を薄く塗る。

5.焼き上がったら一度クッキングペーパーにとって余分な油を除いた後に器に盛り、上に削り干ししいたけをのせて供する。削り干ししいたけがなければ干ししいたけを粉末にしたものでもよい。

「小松菜のごま和え(右)」


【材料(3人分)】
・小松菜 60g(茹でた状態で)

・水菜 30g(茹でた状態で)

・せり 30g(茹でた状態で)

・にんじん葉 30g(茹でた状態で)

・下味用漬け出汁 約400cc
出汁360cc、塩0.6g、薄口醤油25cc、日本酒10cc

・白菜(緑の葉部分)30g(生)

・ごま和えの衣 適量
作りやすい分量:白いりごま30g、出汁大さじ1、砂糖大さじ1、薄口醤油大さじ1

【作り方】
1.小松菜、水菜、せり、にんじん葉は洗って、それぞれ茹でて水に放す。冷めたら水気を絞って下味用漬け出汁に20分以上漬けて味を含ませる。

2.白菜は洗って2.5cm角に切る。

3.ごま和えの衣を作る。市販のいりごま(白)を軽くいり直して、すり鉢で粗めにすって出汁と調味料を加え合わせる。

4.小松菜、水菜、せり、にんじん葉を漬け出汁から上げて水分を軽く絞る。小松菜と水菜は3cm、せりは葉の部分と細い茎の部分は2.5cm、せりの太い茎の部分とにんじん葉は1cmに切る。

5.小松菜、水菜、せり、にんじん葉、白菜をボウルに入れほぐして混ぜ、ごま和えの衣を加えてよく和え器に盛る。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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