レシピ

菊いも、ぎんなん、むかごを使った、どこか懐かしい素朴な料理

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

秋の里山の恵み

菊いも、ぎんなん、むかごを使った、どこか懐かしい素朴な料理

秋の里山の幸をそれぞれに料理し、半身に灰をかぶった力強い陶板に盛りました。

里山とは人里と原生自然の中間に位置し、人々は薪を採取したり、山菜やきのこなどを採ったりして、その豊かな自然を暮らしに役立ててきました。

今日は里山の恵みから、ぎんなん、むかご、菊いもを料理します。ぎんなんはよくご存じでしょうし、むかごについては「むかご飯、むかごとぎんなんのかき揚げ」でお話ししました。菊いもは天然のインシュリンといわれるイヌリンを豊富に含んでいることから、近頃、話題に上ることが多くなり、スーパーマーケットでも見かけるようになりました。

菊いも、ぎんなん、むかごを使った、どこか懐かしい素朴な料理

菊いもはキク科ヒマワリ属の多年草で、その肥大した根の部分を食用します。見た目は生姜のようで、生食するとシャキシャキ感がありますが、熱を加えると甘みが増してほくほくになります。

今回は使いませんでしたが、栗をオーブンなどで焼いて加えてもいいですね。

閑寂な山里の自然と向き合いながら営まれる人々の生活、そこに息づく四季の実りを貴んできた日本人の心に思いを馳せながら、野趣あふれる野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「秋の里山の恵み」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎︎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・ぎんなんは殻の中で可食部(胚乳)が乾燥して縮んでいることがある。そんなときはやっとこやペンチで殻に割れ目を入れ、1時間ほど水につけて元に戻した後に調理する

揚げぎんなんは120℃くらいの低温で揚げると翡翠色に仕上がる。天ぷらのような高温(170℃)で揚げると表面が白くなる。

・ぎんなんをいる前に塩水につける方法もあるが、いった後に好みの量の塩をつけて食す方がぎんなん本来の味が楽しめる

・いりぎんなんは専用のぎんなんいり器を使うと便利だが、なければ鉄のフライパンや中華鍋などでもよい。テフロン加工だとフライパンに傷がつく可能性があるので注意。焦げ目がついた本格的ないりぎんなんを作りたければ、100円ショップで売っている取っ手付きの金ざるにぎんなんを入れて直火にかけ、木べらで混ぜながらいるとよい。


「秋の里山の恵み」

菊いも、ぎんなん、むかごを使った、どこか懐かしい素朴な料理

【材料(2人分)】
・殻付きぎんなん 16個
(揚げぎんなん用8個、いりぎんなん用8個)

・菊いも(中) 1個(約50g)

・むかご(直径1cmくらい) 8個

・揚げ油 適量

・塩 少々

・粉山椒 少々

・白ごま 少々

【作り方】
1.揚げぎんなんを作る。殻を外して、茶色の薄皮もむく。フライパンに揚げ油を入れ、120℃に熱してぎんなんを加える。全体が透き通るような翡翠色になったら油から上げ、クッキングペーパーに広げて薄く塩をふる。

2.いりぎんなんを作る。ぎんなんの殻を割り、殻付きのままいる。数個、殻を1/3ほど取り除いておくと、いり具合を確認しやすい。実が透き通った翡翠色になったら火が通っている。ぎんなんいり器がなくてもフライパンなど他の道具で代用可能(「ちょっとしたコツ」参照)。

3.菊いもチップスを作る。洗った菊いもを皮付きのままスライサーで1〜2mmの厚みにスライスし、水にさらす。広げた布巾の上に並べて上からも布巾をかぶせて水気を除く。165〜170℃の揚げ油で泡がほとんど出なくなるまで途中で返しながらカリッと揚げ、クッキングペーパーに広げて薄く塩をふる。

4.菊いもの素揚げを作る。洗った菊いもを皮付きのままポテトフライのように1.5cm角×3cm長さくらいに切る。一度、水に放して断面のでんぷんを流して水気を布巾で除き、165〜170℃の揚げ油で揚げる。泡が小さくなり、中までほくほくに揚がったら油から引き上げ、クッキングペーパーに広げて薄く塩と粉山椒をふる。

5.むかごのごま焼きを作る。洗ったむかごを165〜170℃の揚げ油で中まで火が通るように素揚げして皮をむく。むかごの皮のむき方は「むかご飯、むかごと銀杏のかき揚げ」参照。表面に白ごまをつけて予熱したオーブントースターで焼く。

6.揚げぎんなん、いりぎんなん、菊いもチップス、菊いもの素揚げ、むかごのごま焼きを器に盛る。好みで塩を添える。

※今回は入れていないが、焼き栗を入れてもよい。栗の平らな面を下にして丸みのあるほうに縦に1本、あるいは十文字に包丁で切り込みを入れる。栗を天板に並べ、200℃に予熱したオーブンに入れて中まで火が通るように15分ほど焼く。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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