レシピ

しゃきしゃきとした梨のような食感。新しいじゃがいもレシピの登場です

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

じゃがいもの梨もどき

じゃがいもは生で食べても大丈夫? 生で食べられないわけではありません。細いせん切りにして水によくさらし、でんぷんを除いてシャキシャキ食感にしたサラダというのがありますね。ただ、じゃがいもには芽とその芽の根元や光が当たって緑色になった皮の部分に天然の有毒物質が多く含まれています。生食に限らずその部分を十分に取り除いて食べましょう。

シャキシャキ食感のじゃがいもの料理を安全によりおいしく食べたいのであれば「梨もどき」はいかがでしょうか。なんだそれ?と思われるかもしれませんね。私がこの世界に入るよりずっとずっと昔に工夫された料理で、日本料理に数あるもどき料理の中でもおいしいものの一つです。名前のとおりに梨のような食感にします。

少し前にしおれた野菜をシャキシャキにする50℃洗いが話題になりましたが、50℃洗いも梨もどきも細胞壁に含まれるペクチンの硬化を利用しています。せん切りにしたじゃがいもを茹でて中心温度を55〜65℃にすると加熱前よりも食感が堅くなるのです。

今のように調理科学が明らかになっておらず、情報も少なかった昔、先人はなぜ、このような調理法を思いついたのでしょう。数多くの失敗、偶然を含めた経験知によるものだと思います。

梨はナシと呼ぶと「無し」につながるとして縁起を担いで「有りの実」とも言います。先人が残してくれた知恵と工夫に新たな1ページを加える覚悟“有り”や“無し”や?と、もし私が誰かに問われれば、“有りのみ”と答えたい(笑)。今日も野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「じゃがいもの梨もどき」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎︎旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

茹で湯に酢を加えて酸性にするとペクチンの分解が起こりにくくなり、じゃがいもが堅くなる。

・旨みを強くしたい場合は、針海苔やもみ海苔を最後に添えてもよい。


「じゃがいもの梨もどき」

【材料(2人分)】
・じゃがいも(メークイン。他品種でもよい。3mm角×6cmに切る) 20g

・酢 適量

・梨(3mm角×6cmに切る) 10g

・みょうが(細めのせん切り) 5g

・土佐酢 適量
作りやすい分量:出汁4:淡口醤油1:みりん1:酢1

・わさび酢 約大さじ2
作りやすい分量:土佐酢大さじ2、わさび1g

【作り方】
1.じゃがいもは皮をむいて指定どおりに切り、水に放してでんぷんを流す。

2.鍋にたっぷりの水を注いで沸かす。酢(湯1Lに対して酢50ccくらい)を加えて、鍋よりひと回り小さなざるに入れたじゃがいもをざるごと湯に入れ35〜40秒茹でて水につけ冷やす。じゃがいもの中心温度が60℃くらいになるイメージで。
温度計を使って正確にやる場合は、湯が80℃になったら酢を加え、じゃがいもを先と同じ要領で入れる。湯量にもよるが湯温が65℃くらいに下がるので、2分〜2分半ほど火を調節してこの温度を維持する。じゃがいもを1本取り出して試食し、生っぽい味がせずシャキシャキになっていたら水につけて冷やす。

3.じゃがいもの水気をよくきり、ボウルに入れて土佐酢をまぶして洗う。ざるにあけて酢をきったらボウルに戻して梨とみょうがを加えて混ぜる。方向をそろえて束にして器に盛る。わさび酢をかけて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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