レシピ

秋野菜がすべて出そろう季節。旧暦の重陽の節句を野菜料理で祝いましょう

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

菊花と秋野菜の酢のもの、菊花とこんにゃくのくるみ和え

「菊花と秋野菜の酢のもの、菊花とこんにゃくのくるみ和え」

今日10月14日は旧暦では9月9日、重陽の節句に当たります。重陽の節句については「菊花椀、菊梅雑炊」でお話ししました。中国には陰陽思想という考えが古来あり、奇数を縁起のよい数字、陽数とし、偶数を陰数と考えていました。そのため、奇数が重なる日に邪気払いや祝いをしました。それが桃の節句(3月3日)や端午の節句(5月5日)、七夕(7月7日)などです。そして、9月9日は一番大きな奇数(陽数)が重なる「重陽」で、最もめでたい日とされました。

重陽の節句の行事を新暦ではなく、旧暦で行う地域もあります。それは新暦の9月9日では実際の収穫時期とのズレがあり、節句の料理に使う菊や栗、秋なすをまだ十分に楽しむことができないためと思われます。まだ暑い9月9日に菊と言われてもピンときませんし、早採りの栗もあるにはありますが、まだ本来の味を味わうことはできません。

「菊花と秋野菜の酢のもの、菊花とこんにゃくのくるみ和え」

今日なら、重陽の節句に使うすべての食材が最高の状態でそろいます。新暦で既にお祝いした方もまだの方も、節句料理にチャレンジしませんか。今回は食用菊を使った料理を2つ紹介します。桃、端午、七夕と節句料理はどこか心が弾みますね。今日は重陽にちなんだ野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「菊花と秋野菜の酢のもの」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素を取り入れている。

◎︎旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・食感と香りを残すために菊花は茹で過ぎない

なめこととんぶりは茹でただけでは酢のものにしても水っぽさが残るため、漬け出汁に漬けて下味をつける。これによって後からかける加減酢は濃い味にしなくてもおいしくなる。

・「菊花とこんにゃくのくるみ和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎︎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

菊花とこんにゃくは香りと食感を生かして薄味に。味は和え衣でつける。


「菊花と秋野菜の酢のもの」

「菊花と秋野菜の酢のもの、菊花とこんにゃくのくるみ和え」
【材料(2人分)】
・食用菊(黄。紫でもよい) 3輪

・甘酢 適量
作りやすい分量:昆布出汁(水1L、昆布10g)450cc、酢300cc、砂糖100g

・とんぶり 小さじ2.5

・なめこ 大さじ3

・下味用漬け出汁 約200cc
出汁180cc、塩0.3g、薄口醤油12cc、日本酒5cc

・長いも 30g

・加減酢 大さじ2
出汁6:みりん1.5:濃口醤油0.5:薄口醤油1.5:酢1.5:柑橘酢0.5の割合

【作り方】
1.食用菊の花びらをガクから外し、酢(分量外)を少量入れた湯で茹でたら、冷水に放して水気をよく絞る。菊花の詳しい下処理は「菊花椀、菊梅雑炊」参照。

2.菊花をボウルに入れ甘酢をかけて混ぜる。漬け込むのではなく、甘酢で洗う感じにして菊花の香りと食感を残す。甘酢をきって両手で絞り、再度、甘酢で洗うと水っぽさはなくなる。

3.とんぶりは粒が細かいので、目の細かい茶こしに入れて沸いた湯の中につけて、20〜30秒茹でたら、冷水で冷やし水気をきる。なめこも茹でて冷水に放し、水気をきる。とんぶりとなめこは水気をよく除いて、それぞれ下味用漬け出汁に20分以上漬け込み、下味をつける。

4.長いもは皮をむいて6mm角に切る。

5.2の菊花の甘酢を絞ってほぐし、3のとんぶりの水分を除いたものと合わせる。菊花、なめこ、長いもを器に盛り加減酢をかけて供する。

「菊花とこんにゃくのくるみ和え」


【材料(2人分)】
・食用菊(紫。黄でもよい) 2輪

・甘酢 適量
作りやすい分量:昆布出汁(水1L、昆布10g)450cc、酢300cc、砂糖100g

・こんにゃく(白) 10g

・下味用漬け出汁 約200cc
出汁180cc、塩0.3g、薄口醤油12cc、日本酒5cc

・くるみの和え衣 大さじ1程度(好みで加減) 「秋野菜のくるみ和え」参照

・いりくるみ 1個

【作り方】
1.食用菊を茹でて甘酢で洗うまでは「菊花と秋野菜の酢のもの」の作り方1、2と同じ。

2.こんにゃくは5mm角×3cm長さに切り、下茹でして臭みを除いた後、下味用漬け出汁で6〜7分炊いて火から下ろし、20分以上おいて味を含ませる。

3.ボウルに甘酢を絞ってほぐした菊花、汁気をきったこんにゃくを入れて混ぜ、くるみの和え衣を加えて和える。器に盛って小豆くらいにいった割ったいりくるみを散らす。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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