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野菜だけなのに奥深い味。優しいとろみでほっこり温まる郷土料理の代表的レシピ

2021.10.06

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

のっぺい汁


のっぺい汁

今日はのっぺい汁を紹介します。漢字では「濃餅」、「能平」と書くようです。新潟の郷土料理として有名ですが、新潟だけでなく広く全国に分布しています。各地の郷土料理のにっぺ、ぬっぺ、にっぺい、煮ごめ、ぐる煮、こくしょう、こくしょなども同じ系統の料理になります。

野菜や乾物などを炊いて葛粉や片栗粉でとろみをつけた料理で、そのとろみや具材に必ず入る里いもを煮込んだ際のぬめりが「のっぺ」の名の由来になっているという説もあります。里いもと冷蔵庫の残り野菜を見つくろえば簡単にできる汁物ですが、秋から冬にかけて体に染みるおいしさがあります。


もともとは禅寺で、余った野菜の端などを集めて刻んで炊き、葛粉でとろみをつけた汁物にして食していたものが広がったといわれます。フードロスが盛んに言われていますが、禅寺などでは遠い昔に野菜の端や皮なども捨てずに工夫して逸品に仕上げていたのですね。野菜に感謝し、その感謝を工夫で表して、今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「のっぺい汁」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・野菜を切って生から炒め、全素材が柔らかくなるまで煮る方法もあるが、野菜の硬さにムラが出やすい。また、出汁を加えて長時間煮ると汁物としては味にキレがなくなる

・野菜それぞれで火が入る時間は違うため、炒める前にそれぞれに適切な下茹でを施し、全野菜のベストな食感をでき上がりのタイミングで合わせる

・下処理した食材を炒める際に使う油をごま油だけにすると、最後までその香りが残って食材の風味を損なってしまう。油で炒めるのは旨みをのせるためなので、サラダ油か、または太白油とサラダ油を合わせたものを使う

・のっぺい汁を郷土料理から、さらに上のステージに上げるのが、柚子の香りと揚げたそばの実の食感







のっぺい汁


のっぺい汁

【材料(3~4人分)】
・冬瓜 100g

・大根 100g

・にんじん 50g

・里いも(中)4個

・米の研ぎ汁 適量

・生しいたけ(中) 4枚

・油揚げ 1/3枚

・油(太白油1:サラダ油1の割合) 適量

・出汁 600cc
かつお節と昆布の出汁でも、ベジタリアン用は昆布出汁でもよい

・塩 1.5g

・薄口醤油 大さじ1

・みりん 小さじ1

・葛粉(片栗粉でもよい。葛1:水2を溶く) 35~40cc

・そばの実 少々

・揚げ油 適量

・柚子 少々

【作り方】
1.冬瓜は皮を厚くむいて8mmほどの厚みの一口大に切る。大根は皮をむいて8mmほどの厚みの銀杏切りにし、米の研ぎ汁で堅めに茹でておく。にんじんは皮をむいて3mmほどの半月切りにして、10秒ほど茹でてあくを除く。生しいたけは石づきを除き、軸を外して1/4に切る。軸も8mmほどの長さに切る。

2.里いもは皮をむいて米の研ぎ汁で柔らかく茹で、一口大に切る。「小いもの含め煮」参照。油揚げは1cm×3cmに短冊切りする。そばの実は160℃の油で揚げてキッチンペーパーに広げて余分な油を除く。

3.鍋を火にかけ油をひく。冬瓜としいたけ、大根、にんじんを加えて炒める。でき上がりに歯ごたえが残るよう炒めすぎない。油が野菜になじんだら里いもと油揚げも加えて出汁を注ぐ。調味料を入れて吸いものよりも少し濃いめの味になるようととのえる。

4.水で溶いた葛粉を少量ずつ何回かに分けて、3に加え混ぜて薄いとろみをつける(味をつけた後にとろみをつけること。手順を逆にすると粘度が増して舌をヤケドすることがある)。あくまでも汁物なので薄いとろみでよい。弱火で10秒ほど炊いて粉臭さをなくす。

5.椀に4を注ぎ、柚子の皮の部分をおろし金で削り茶筅の先を切ったものでふりかける。柚子が自然に黄色く色づいたものであれば、皮を3㎜角に切ったものを10粒ほど散らしてもよい。最後に揚げたそばの実をかけて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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