レシピ

野菜の煮ものの残った煮汁を再活用。いつものおばんざいがおいしくなる秘密のテクニック

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

秋の切り干し大根

野菜の煮ものの残った煮汁を再活用。いつものおばんざいがおいしくなる秘密のテクニック

8月30日のこの連載で、私のおばんざい愛をお話しし、「ひじきの炒め煮、おからの酢炊き」を紹介させていただきました。野菜料理とも関係が深いおばんざい、これからも大切に残していきたいものです。

今日は切り干し大根の煮ものです。乾物ですから水でもどさなければなりませんが、ひじき同様、そのやり方がポイントです。もどし過ぎると味が抜け、食感もブヨブヨになります。切り干し大根の質、水温にもよりますが、長くても15分で十分です。もどし過ぎよりは少したりないくらいのほうがましで、炊いている間にちょうどよくなるので心配いりません。

もどし汁を精進出汁として使用したり、煮汁に加える方法もありますが、独特の乾物臭が今の時代は嫌われます。特に黄色くなった古いものは臭いも強いので、なるべく新しくて白いものを選びます。なかには漂白したものもありますので、表示をきちんと確認してから買い求めてください。

乾物料理全般に共通することですが、定番の具材に旬の野菜を加えると風味とエネルギーが増しておいしくなります。それからもう一つ、今日は乾物などのおばんざいを炊くときのコツをお教えします。

それは他の野菜を炊いた煮汁を加えることです。夏から秋であれば、賀茂なすや冬瓜の揚げ煮、千両なすの煮ものなどの煮汁が使えます。出汁だけで炊くよりも味が複雑になり、奥行きが生まれます。ただ、里いもやかぼちゃなど煮汁にでんぷん質が出るものは避けた方がいいでしょう。

煮汁の再活用、これぞ家庭料理の真骨頂です。いつも均一の味で料理を提供しなければならない料理屋などは、やりたくてもやれないテクニックです。家庭だからこそできる野菜料理の一つがおばんざいかもしれませんね。今日も野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「秋の切り干し大根」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

乾物を炊くときは、ほかの野菜を炊いた煮汁を加えると味に深みが出る。

きのこは一緒に炊くと旨みが外に逃げてしまう。別で軽く焦げ目がつくくらいに焼いたものを最後に合わせると旨み、風味、食感が生きる。

にんじん葉は香りと食感がよいが、繊維質なので、5mmくらいに短く切って添える。

香りのよい七味唐辛子があれば添えてもよい。野菜料理をおいしくする7要素の中の「刺激」をクリアできる。


「秋の切り干し大根」

野菜の煮ものの残った煮汁を再活用。いつものおばんざいがおいしくなる秘密のテクニック

【材料(3人分)】
・切り干し大根(乾物) 70g

・殻つき茹で落花生 25粒(実のみ)

・きのこ3種類(まいたけ、しめじ、しいたけなど) 各30g

・にんじん葉 50g

・下味用漬け出汁
出汁90cc、塩0.2g、薄口醤油6cc、日本酒5cc

・ごぼう(ささがき)100g

・油(サラダ油2:ごま油1) 適量

・出汁 300cc
かつお節と昆布の出汁でも、ベジタリアン用は昆布出汁でもよい
ほかの煮ものの余った煮汁を使ってもよい

・日本酒 大さじ2

・塩 3g

・薄口醤油 大さじ1+小さじ1

・みりん 小さじ2

【作り方】
1.ボウルに水をたっぷり注いで切り干し大根を入れ、ほぐしてごみなどを落とす。下に沈んだごみが混ざらないように両手で少しずつすくってざるに上げる。ボウルに再度、たっぷりの水を注ぎ切り干し大根を入れ、10~15分つけて柔らかくもどったらざるに上げる。何回かに分けて両手でぎゅっと握って水気をしっかり絞っておく。食べやすい長さに切る。

2.落花生は殻ごと20分塩茹で(塩は分量外)し、殻から実を取り出す。薄皮はむかない。薄皮があることで風味が出る。「茹で落花生」参照。

3.人参葉は茹でて冷水に放して水気を絞り、下味用漬け出汁に10分以上浸ける。

4.ごぼうは普通サイズのささがきにしておく。ささがきについては「ひじきの炒め煮、おからの酢炊き」参照。

5.きのこ類を食べやすい大きさに切る。予熱したグリル(オーブントースターでもよい)で焦げ目がつくくらいに焼いたら、焼き上がりに濃口醤油(材料外)を刷毛などで薄く塗る。

6.鍋を火にかけて油をひき、ごぼうの笹がきを加えて炒める。続いて水気をよく絞った切り干し大根を加え、残っている水分を飛ばすように炒める。出汁と調味料、茹で落花生を加えて強火にし、沸いたら中火にして、食感が残るように一気に炊き上げる。

7.煮汁が減って味がしみたら、火から下ろし、焼いたきのこと合わせて器に盛る。仕上げに5mmくらいに切ったにんじん葉を添える。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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