レシピ

和える、焼く、さっと煮る。“えのきたけ”だけでこんなにも味のバリエーションが!

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

えのきたけの梅和え、カリカリ焼き、なめたけ

えのきたけの梅和え、カリカリ焼き、なめたけ

まだまだ暑いですが、9月になると日本料理では、秋の料理としてきのこを使う頻度が増えてきます。とはいっても、今は天然物以外、ほとんどのきのこが菌床栽培なので一年中手に入り、秋の食材という意識は薄れていますね。

日本には四季があります。失われつつある季節感を取り戻そうなんて説教じみたことを言うつもりはありませんが、低価格で安定的に手に入るきのこを上手に料理して、秋っぽくおいしく食べましょう。

9月~10月にかなりの種類のきのこを取り上げていきますが、今日はえのきたけです。元々は榎(えのき)などの落葉樹の枯れ木などに寄生することから、その名がついたようです。しいたけに続いて人工栽培に成功し、今や日本で最も多く生産されるきのこになっています。

えのきたけの梅和え、カリカリ焼き、なめたけ左上がえのきたけ。白えのきとブラウンえのきがある。

工場において瓶で菌床栽培されているので根のほうは瓶の口状に丸く、根元にはおがくずがついています。もちろん、洗う必要はありませんが、おがくずがついているあたりが何となく気になりバッサリ切り落としていませんか?

えのきたけの切り方、さばき方も今日は紹介します。おがくずがついている部分だけを切り落として、その上の部分2.5cmくらいは輪切りにしてステーキにすると、帆立貝のような食感です。鍋や炒め物用に小束にさばきたい、全部をバラバラにしたいという場合も、一工夫であっという間にできる方法をお教えします。

安価なため雑に扱われがちなえのきたけ。自分の姓に近いからというわけではありませんが、丁寧にさばき、上手に料理してみてください。えのきたけを見直すはずです。それでは、今日も野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「えのきたけの梅和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

電子レンジで加熱することで、素材の味や風味を維持し、余分な油の吸収を抑えることができる。

・えのきたけの香りは好き嫌いが分かれるが、青じそと梅を加えることで風味に調和がとれ、梅の酸味が味を引き締める。

松の実の香ばしさと食感、オリーブ油の油分が味にボリュームを持たせる。

・「えのきたけのカリカリ焼き」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・えのきたけは加熱するとぬめりのある食感になるが、押さえながら焼くことでカリカリの食感に。旨みは塩昆布で補う。

・「えのきたけのなめたけ」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 香り ◎刺激

ブラウンえのき茸(野生種と白い栽培種の交配)は白に比べ歯ごたえがよく、風味とぬめりも強い。両者を合わせることで、ぬめりと歯ごたえがアップする。

食感と歯ごたえを生かすようにさっと炊く。赤唐辛子を加えることで、薄味でもボケた味にならない。


えのきたけの梅和え、カリカリ焼き、なめたけ

「えのきたけの梅和え(右)」

【材料(3人分)】
・えのきたけ(ブラウン、白でもよい) 1パック

・梅肉 大さじ1/2強(梅の塩分濃度で加減する)

・青じそ(せん切り) 10枚

・オリーブ油 小さじ1弱

・松の実(香ばしくいる) 少々

【作り方】
1.えのきたけは根元の断面から包丁を縦横に入れ(「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照)バラバラにして、2.5~3cmの長さに切る。

2.耐熱皿に広げてラップし、500Wの電子レンジで40秒~1分加熱する。

3.えのきたけをボウルに入れ、梅肉とオリーブ油を加えて和える。次にせん切りにした青じそも混ぜる。

4.器に盛って松の実を散らす。

「えのきたけのカリカリ焼き(左)」

【材料(3人分)】
・えのきたけ(白) 1パック

・塩 少々

・薄力粉 適量

・サラダ油 適量

・青じそ 6枚

・揚げ油 適量

・塩昆布(みじん切り) 少々

【作り方】
1.えのきたけを2×1.5cmくらいの束にし(「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照)、薄く塩をして、両面に薄力粉をまぶす。

2.フライパンを火にかけ、サラダ油を少し多めにひいて熱し、えのきたけを入れる。フライ返しで押さえながら中火~弱火でじっくりと焼く。

3.表がきつね色に香ばしく焼けたら、裏返して同じように焼く。

4.青じそはせん切りにして160℃弱の油で揚げて、クッキングペーパーに広げて余分な油を吸収させる。

5.3の裏も焼けたら、一度クッキングペーパーに取り、余分な油を除いた後に器に盛る。えのきたけの上から塩昆布を散らし、4の青じそをのせて完成。

「えのきたけのなめたけ(奥)」

【材料(3人分)】
・えのきたけ(ブラウン・白) 各1パック

・赤唐辛子(種を抜いて輪切り)1/2本分

・出汁 200cc
かつお節と昆布の出汁でも、ベジタリアン用は昆布出汁でもよい

・薄口醤油 小さじ2

・みりん 小さじ1

・砂糖 2g

・サラダ油 数滴

【作り方】
1.えのきたけはバラバラにさばき、3cmくらいに切る。

2.鍋に出汁を入れて火にかけ、赤唐辛子と調味料を加える。沸いたらえのきたけを入れて1~2分さっと炊く。火が通ったら油を数滴落とし全体に絡め、火から下ろしてそのまま冷ます。味を含んだら完成。冷蔵庫で保存すれば日持ちする。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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