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冬瓜の希少部位をとろとろに煮込んだ、優しい風味の珍味をご紹介します

2021.08.23

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

冬瓜の種の周りの葛煮


冬瓜の料理は「冬瓜の揚げ煮」を過去に一度ご紹介しました。今後も数品紹介する予定ですが、今回はその中でも珍味中の珍味です。珍味というと珍しいだけであんまりおいしくないものが多いのですが、これはおいしいことを知らずにみなさんが捨てている“希少部位”で作った料理になります。冬瓜の料理は「冬瓜の揚げ煮」を過去に一度ご紹介しました。今後も数品紹介する予定ですが、今回はその中でも珍味中の珍味です。珍味というと珍しいだけであんまりおいしくないものが多いのですが、これはおいしいことを知らずにみなさんが捨てている“希少部位”で作った料理になります。



その部位は種の周りのわたです。えっ、そんなところ食べられるの……という感じだと思います。しかし、考えてみてください。すいかのおいしい部位はどこでしょう? ご存じのとおり、中心部から種の周りあたりまでです。


メロンも同じで一番甘いのは種の周辺、次がお尻のあたりです。メロンの種の周辺を捨てていた方、種があって食べにくいかもしれませんが、一度、口に含んでみてください。納得いただけると思います。

冬瓜もすいかやメロンと同じウリ科のつる性一年草ですから、同様の部分がおいしいのです。でも、捨てちゃってますよね(笑)。干瓢(かんぴょう)を作る夕顔も同様で、産地では干瓢には使えない種の周りの部分を料理に用いています。

切った冬瓜を買うときは、つるがついているほうではなく、お尻のほう、しかも種の周辺が多いものがいいでしょう。種の周辺部分は今日の料理以外でも味噌汁の具にもなりますし、酢のものにも使えます。

知らないと損することって料理でも多いですね。今回の話はプロの料理人でもほとんど知らない内容です。教えたがりの私が、この連載の読者の皆さまだけに、これからもしつこく有益な情報と料理のコツをお伝えします(笑)。さあ、今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「冬瓜の種の周りの葛煮」は、野菜料理をおいしくする7要素中4要素をクリア。

◎︎旨み ◎塩分 甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・種の周辺は、身の部分と違って青臭さもなく柔らかいため、茹で過ぎない、水にさらし過ぎないことが大切

・身とは違うふにゃっとした食感が特徴で、それを生かすために葛煮にする。

・油分や唐辛子の辛みを活用することもできるが、できれば調味は薄味にして食感と風味を楽しむことをおすすめする。







「冬瓜の種の周りの葛煮」




【材料】
・冬瓜の種の周り 100g

・出汁 200cc
かつお節と昆布の出汁でも、ベジタリアン用は昆布出汁でもよい。

・塩 0.5g

・薄口醤油 小さじ2

・みりん 小さじ1

・葛粉(水2:葛粉1で溶く。片栗粉でもよい) 適量

・青柚子 少々

【作り方】
1.冬瓜の種の周りの柔らかいわた部分を大きめのスプーンを使ってうまく取り出し、種を除きやすいように一口大に切る。

2.鍋に湯を沸かし、わた部分を入れてさっと茹でる。火が通ったら冷水に放し、冷めたらざるに上げ水気をきって種を除く。

3.乾いた布巾に2を広げ、上からも布巾をかぶせて軽く押さえ、余分な水分を除く。

4.鍋に出汁を注いで火にかけ、沸いたら調味料をすべて加えて3のわたを入れる。

5.再度、沸いたら弱火にし、水で溶いた葛粉を少量ずつたらしながら出汁をかき混ぜ、とろみをつける。葛の粉臭さが抜けるまで弱火で20秒ほど炊く。

6.器に盛って、とろみがついた出汁もはり、青柚子の皮をおろし金で削り、茶筅などでふりかける。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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