レシピ

松茸は、1年で今がいちばん安い!たっぷり使って、贅沢に食べましょう

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

松茸の佃煮、吸いもの

松茸の佃煮、吸いもの

秋の高級食材松茸をなぜ、今、取り上げるのか? 私の頭が夏の暑さでとうとうおかしくなったからではなく、私が家計の味方だからです(笑)。

実は、松茸は盆休み前に1年で最も安くなります。松茸を贅沢に楽しむなら、今です。

この松茸は高値で取引される国産の早松茸(さまつだけ)とは違って輸入ものです。料理屋は夏に松茸を使うわけにはいきませんが、産地では少しでもお金になればと輸出してきます。結果、盆休み前に品物がダブつき、安値となるのです。

松茸の佃煮、吸いもの

現在、アジア、北米、メキシコなど多くの国から輸入されていますが、外国産松茸が国産に比べて安いのは採取してから時間が経過しているからです。つまり、香りや食感が落ちているということです。

であればそれに対応した料理を工夫しましょう。今回は松茸の佃煮と松茸だけの吸いものをご紹介します。夏に松茸飯はぴんとこないのであれば、佃煮にした松茸を握り寿司にしてはどうでしょう。佃煮にしておけば日持ちし、秋まで冷凍も可能です。さらに松茸だけのお吸いものとはなんと贅沢な! 今だからできる逸品です。

家計に優しく、賢く、今日も野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「松茸の佃煮」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

※松茸の石づきを削ぎ落した際、真っ白ではなく、ところどころに茶色の筋や穴があれば、虫が入っている可能性がある。原則、加熱すれば問題はないが、気になるようであれば、海水より少し薄いくらいの塩水に数分つければ虫が出てくる

ある程度の量を一緒に炊くことで香りが甦る。

・炊く際に煮汁に出た松茸の味と風味を、煮汁を煮つめていくことで松茸にすべて戻す

・煮汁を煮つめ上げる直前に、油を数滴加えることで、深みのある味となる。

・「松茸の吸いもの」は、野菜料理をおいしくする7要素中4要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・傘の部分は火が通りにくいので吸いものの出汁で火を通し、同時に香りを出汁に移す。軸の部分は細く切って生で浮かべて食感を生かす。


「松茸の佃煮」

松茸の佃煮、吸いもの

【材料(作りやすい分量)】
・松茸(つぼみ 中) 5本

・日本酒  大さじ9(135cc)

・みりん  大さじ2と1/2(38cc)

・濃口醤油  大さじ1と小さじ1(20cc)

・薄口醤油  大さじ1弱(12cc)

・サラダ油 少々

【作り方】
1.松茸は石づきの土がついている部分だけを鉛筆を削る要領で薄く削ぎ落とす。香りが大切なのでなるべく水で洗わず、濡らしたキッチンペーパーなどで汚れを拭くくらいに。汚れがひどい場合や乾燥していて落ちないときはボウルに水をため、浸けるのではなく湿らせながら、指先で優しく洗う。

2.鍋にサラダ油以外のすべての調味料を入れて火にかけ、松茸を加える。火加減を調整しつつ、時々松茸の上下を返しながら炊いていく。

3.火が通ったら、鍋を回しながら弱火で煮汁を煮つめるように絡めていく。煮汁が少なくなってきたら、ごく弱火にしてサラダ油を数滴入れ、煮汁とともに松茸に絡め、ほとんど汁気がなくなるまで煮つめる。炊いているうちに煮汁に溶け出した松茸のエキスを松茸に戻していくイメージ。

※佃煮としてご飯のおかずに、酒の肴に、にぎり寿司にも。冷蔵庫に入れておけば日持ちする。秋まで冷凍しておいて使うことも可能。

「松茸の吸いもの」

松茸の佃煮、吸いもの

【材料(2人分)】
・松茸(中)  2本

・青柚子  適量

<吸いもの出汁>
・出汁   360cc
かつお節と昆布の合わせ出汁でも、ベジタリアン用は昆布出汁でもいい。

・塩   0.6g

・薄口醤油   6cc

・日本酒   6cc

【作り方】
1.松茸の下処理は佃煮のプロセス1と同様。

2.松茸の軸は、傘がついているほうが4cmくらいの長さになるように2つに切る。傘つきのほうは大きさにもよるが、縦2つに割く。残りの軸部分はできるだけ薄くスライスした後、せん切りにする。

3.鍋に出汁を入れ火にかける。温まってきたら、2の傘つきの松茸を加えて沸かないように注意しながら中火でひと煮し、調味料で好みの味に仕上げる。椀に松茸を盛って出汁をはり、その上から2のせん切りした松茸を入れる。青柚子の皮の青い部分のみを直径1.5㎝程度に包丁でそいだもの(へぎ柚子)を添えて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

Ranking今週の人気記事 ベスト5

家庭画報 最新号

家庭画報2022年1月号

1月号 12月1日発売

新年を寿ぐ

一部地域は輸送の関係で発売が遅れる可能性があります。

© SEKAI BUNKA PUBLISHING INC. All rights reserved.

Loading