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どんな野菜も揚げて漬けるだけ。南蛮渡来の簡単料理は、いまや和食の定番です

2021.08.07

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

夏野菜の揚げびたし、南蛮漬け


夏野菜の揚げびたし、南蛮漬け
夏野菜をたくさん、おいしく食べたい。しかも簡単に、作り置きできたらもっといい。そんな願いにぴったりなのが夏野菜の揚げびたしと南蛮漬けです。揚げてあるのでボリュームもあり、酒の肴にもご飯のおかずにもなります。そして冷蔵庫の中にあるほとんどの夏野菜が使えます。

新れんこんのあちゃら」ではあちゃらの語源を紹介しましたが、南蛮漬けは料理としては同系統でも、語源は少し違います。


かつて日本が南蛮貿易をしていたスペインやポルトガルには「エスカベシュ」という小魚を揚げて酢漬けにしたマリネのような料理がありました。これが日本に伝来し、南蛮から来た料理ということで南蛮漬けという名がついたといわれます。

今回、使った野菜以外でも、アスパラガス、ピーマン、パプリカ、オクラ、新生姜、冬瓜、れんこん、かぼちゃなどは、南蛮漬けにすることができます。

また、夏の料理としてなすを揚げびたしにした「なすのオランダ」というものがあり、そうめんと合わせるのが定番です。なすだけでなく、他の夏野菜の揚げびたしもそうめんに合いますのでお試しください。野菜を揚げ浸しにした後の漬け出汁は、浮いた油を除けばそのままそうめん出汁に応用することもできます。

今も料理には外国の料理のテイストを取り入れた〇〇風というものがよくありますが、天ぷら、あちゃら、南蛮漬けなどの料理は、長い歴史を経て完全に日本料理として定着しています。もちろん、名作だからこそ残ったのでしょうが。
今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「夏野菜の揚げびたし、南蛮漬」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 食感 ◎香り ◎刺激

・野菜を素揚げして、熱湯をかけて油抜きし、濃い味つけの出汁に漬けるのが一般的なプロの仕事。それでは調味が勝ってしまい、素材の風味が失われる。

・油っぽくなるのを避けたいのであれば、調味出汁を使って油抜きを。濃過ぎないおいしい調味出汁を多めに作り、その一部をボウルに取り分けて冷やしたものに、素揚げしたそばから野菜を漬ける。油は出汁の表面に浮くので、油抜きできる。

熱い素材は急に冷たい液体の中に入ると、周りの水分を吸収するので、湯で油抜きする場合と比べて水っぽくならずに下味もつけることにもなる。







「夏野菜の揚げびたし(左)、南蛮漬け(右)」


夏野菜の揚げびたし、南蛮漬け
【材料 (2人分)】
・なす 1本

・ズッキーニ 1/2本

・甘長唐辛子 2本

・みょうが 1/2~1個

・赤唐辛子 適量

・揚げ油 適量

・美味出汁 400cc
出汁4:濃口醤油1:日本酒1:みりん0.8の割合

・土佐酢 400cc
出汁4:薄口醤油1:みりん1:酢1の割合

【作り方】
1.美味出汁を作り、冷やしておく。

2.なすとズッキーニは枝元部分の下にあるうてな(ガク)のところに包丁を当て、ぐるっと1周して垂れ下がった部分を除き、縦に2つに切る。皮の部分には包丁目を入れ鹿の子切りに、内側には火が入りやすいように縦に3本ほど約6mmの深さの包丁を入れる。

3.甘長唐辛子、みょうがは適宜切っておく。

4.フライパンに揚げ油を入れて160℃くらいに熱し、2と3をそれぞれ揚げる。

5.1の美味出汁の一部を取り分け、その中へ4の揚げた野菜を順に入れていく。

6.揚げて美味出汁に漬けた野菜を、1~2分したらすべて美味出汁から取り出す。

7.新しい美味出汁に赤唐辛子と6の野菜を入れて本漬けして揚げびたしが完成。1時間くらい漬けたものはあっさりしていて、半日ほど漬けると味が入る。1日たったものはそうめんなどと合わせるとよい。

※美味出汁を土佐酢に変えれば南蛮漬けとなる。

※5~6のプロセスで使った美味出汁をプロセス7で使いたい場合は、表面に浮いた油を上手にすくい取り、そのまま漬けてもよい。

※揚げびたしと南蛮漬けの大きな違いは、酸味があるかないかなので、両方を上手に組み合わせた一皿を作ることもできる。揚げびたしにした野菜4、南蛮漬けにした野菜1くらいの割合で組み合わせて一皿に盛ると、味に変化が生まれて食べ飽きない。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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