レシピ

いちじくの香りを楽しむコツは、「湯むき」と「焼き目」のひと手間です

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

焼きいちじくの田楽

焼きいちじくの田楽

いちじくは果物でありながら、日本料理に限らず、世界中の料理に多用されます。漢字では無花果と書き、花を咲かせずに果実をつけるように見えることに由来するようです。

実際は、花は外から見えないだけで、花嚢(かのう)の内側にちゃんとあり、それが成熟して私たちが食べているものになります。

世界中で食されているいちじくですが、菜食主義で最も厳しい戒律を持つジャイナ教では、野菜であるにも関わらず、いちじくや根菜を食さないといいます。まれに花嚢の中に入っている虫を食べてしまったり、根菜を掘り起こすときに土中の虫を殺生してしまうことを防ぐためだそうです。生き物の命を大切にするその真摯な姿勢には頭が下がります。

いちじく

さて、いちじくが料理に使われることが多いのはなぜかというと、生のいちじくは甘みや香りが穏やかで酸味もないため、料理しやすいからだと考えられます。スイーツは別ですが、料理に使うとなると、強い甘みに対応するのは難しいものです。特に日本料理では。

とはいえ、素材を生かしてこその料理です。料理しやすいからといって、素材を生かしたおいしいひと皿にできなければ意味がありません

今日はいちじくの田楽です。プロの料理人でも知らない人が多い、とっておきのコツをご紹介します。さあ、野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「焼きいちじくの田楽」は野菜料理をおいしくする7要素中4要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 食感 ◎香り 刺激

・香りが少ないと思われているいちじくから、香りを上手に引き出す。皮を包丁でむくのではなく、湯むきし表面のみを焼くと、素晴らしい香りが出現する。火が入り過ぎて実がぐちゃぐちゃにならないように注意。


「焼きいちじくの田楽」

焼きいちじくの田楽

【材料(2人分)】
・いちじく 2個

田楽味噌(白) 適量

・青柚子 適量

【作り方】
1.鍋にたっぷりの湯を沸かし、(トマトや桃の湯むきと同様に)常温のいちじくを熱湯に入れ8秒ほどで引き上げ、氷水にはなす。

2.水気を拭いて、竹串を使って皮をむく。

3.予熱しておいたオーブントースターやグリルにいちじくを入れて、焼き目をつける。その際に火が入り過ぎないように気をつける。

4.玉味噌を好みの堅さに出汁でのばして温めておき、器に敷く。焼き目がつき、素晴らしい香りがたったいちじくを味噌の上に盛り、香りが飛ばないうちにすぐに蓋をして供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時〜14時 (夜)17時30分〜23時 ※土曜日のみ17時〜
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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