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和食の名店「懐石 小室」で楽しむ“花懐石”【東京・神楽坂】

【第1章】
東京──進化する和食の名店へ

女性にとっての“名店”とは、単に料理がおいしいだけでなく、センスのよいしつらいや器づかい、細やかなサービス、心躍る演出……。そしてそれらをお昼でもゆっくり楽しめること。

そんな条件を満たす東京の和食の名店に、春を満喫する「特別昼膳」を家庭画報読者の皆さまのためにご用意いただきました。

さらにここ数年にオープンした、昼膳にも定評のある和食店もご案内します。

【懐石 小室】(神楽坂)
春の花尽くしの器で楽しむ“花懐石”

懐石 小室

満開の桜花が繊細なタッチで絵付けされた大皿は、清水焼伝統の登り窯で作陶する陶芸家、3代澤村陶哉の作。贅沢な春の食材を使った15種類もの前菜を丁寧に盛り込んだひと皿は、桜舞う野山の景色を彷彿させる。

四季折々の日本の魅力をお楽しみいただくならば、やはり日本料理を。特別なお昼のひとときを味わえる、和食の名店をご紹介します。

ひと品ごとに花景色を愛でる、優雅な午餐
[訪ねる人]白城あやかさん(女優・オイルソムリエ)

2018年に移転し、モダンな和の空間でよりゆったりと食事を楽しめるようになった「懐石 小室」。

遠州茶道宗家のお出入りとして、茶事懐石でも信頼が厚い小室光博さんが腕をふるう名店です。

小室

カウンターの中の小室さんが大皿の前菜を差し出すと「まぁ、なんてきれいなのでしょう!」と歓声が上がった。白城あやかさんを中央に、右は白木理栄子さん、左は桐井慶子さん。各自の銘々皿に前菜を取りながら、絵付けもじっくりと鑑賞。

極上の食材が持つうまみを引き出す料理はもちろん、抜きん出たセンスを感じさせるのが遊び心溢れる器づかい。

特別昼膳としてご提案いただいた「花懐石」では、花にちなんだ器と旬の味でうららかな春へと誘います。

その雅な昼膳を味わいに訪れたのは、宝塚歌劇団星組トップ娘役として活躍後、現在は母親として、またオイルソムリエとして充実した日々を過ごす白城あやかさんとご友人です。

鯛と赤貝のお造り

鯛と赤貝のお造りを盛った筆洗形の向付も、小室さんが好きな陶芸家の1人として挙げる3代澤村陶哉の作。春の海の幸に、仁清意の遠山桜を描いた器が典雅な雰囲気を添える。

目の前で仕上げられていく料理は、どれも春の息吹と喜びに満ちたものばかり。ひと品ごとの花景色に会話が弾みます。

「器を愛で、巡りゆく季節を感じ、おいしいものを味わう。お昼のひとときで、こんなにも豊かな気持ちになれるとは」と白城さんは微笑みます。

箸置き

桜、うぐいす、鷹の羽、筍など、春がモチーフの可憐な箸置き。箸を置くたびに心が和む。

名品の美の真髄に触れる

ほうぼうの葛打ちすまし仕立て

豊潤な香りが立つ吸い地に、包丁目が入った白身がふわりと開く「ほうぼうの葛打ちすまし仕立て」。青貝の螺鈿で桜花を表現した明月椀、もしくは夜桜蒔絵椀で供される。

「このカウンターで、花鳥風月を愛で、“季節に遊ぶ”面白さを感じてもらえたら嬉しいです」と話す小室さん。その想いは「花懐石」で惜しみなく使われる器にも表れています。

たとえば、ジャポニスムの影響を色濃く映し出したドームの“桜文ガラス酒器”や、かつての金沢で婚礼時などに饅頭などを贈るための容れ物として使われていたという“饅羹重(まんかんじゅう)”は、どちらも100年を超える時代を経たもの。

饅羹重

香ばしく炙った甘鯛と筍に、木の芽味噌を添えた「竹皮包」が並べられているのは、吉祥をもたらす鳳凰と、神聖な木とされる桐の柄が、多彩な技法の蒔絵によって施された“饅羹重”。格調高く重厚な趣は、見る者を引きつける力強さがある。

手の込んだ優美な装飾は、道具に“遊び”を求めた当時の人々の暮らしぶりや文化の薫り、時代の空気感までをも雄弁に伝えてきます。

さらに、黒一色の中に桜の凹凸が微かに浮かぶ夜桜塗の椀の蓋を返すとパッと目に飛び込んでくるのは、朱漆を背景にした金銀の桜蒔絵。洒落心ある意匠に風流な美意識が感じられます。

白城さんとご友人

店名を記した露地行灯を目印に、神楽坂の閑静な住宅街に佇むお店の入り口へと向かう白城さんとご友人。アプローチを進むうちに、楽しいひとときへの期待感が高まってゆく。

「ひと足早く春を満喫するとともに、日本の素晴らしさに改めて気がつきました」と白城さん。美の真髄に触れる特別な日となったようです。

小室光博さん

店を開いて20年。その笑顔も人気のご主人、小室光博さん。

懐石 小室(かいせき こむろ)
住所:東京都新宿区若宮町35-4
TEL:03(3235)3332
営業時間:12時~13時(LO)、18時~20時(LO)
定休日:日曜、祝日
昼コース1万5000円(カウンター席)/1万2000円、1万5000円(いずれも個室)。夜コース3万5000円~(カウンター席)/1万6000円~(個室)。
写真は特別昼膳「花懐石」の献立より。個室3室(2~18名)
※要予約

「家庭画報・春の特別昼膳」のご案内

2020年3月24日~26日
各日12時一斉開始
各日10名まで(1名での予約も可)
2万円(ドリンク別、税込み)
※要予約、先着順

特別昼膳「花懐石」 献立

先付
・鯛と百合根道明寺 桜葉蒸し
(牡丹文蓋碗 正木春藏作)

前菜
・鮑の柔らか煮
・鴨の叩き寄せ
・巻海老の塩ゆで
・岩茸の含め煮
・数の子と筍の木の芽あえ
・京にんじんとにんじんの桜花弁の含め
・こごみおかかあえ
・小柱と酢蓮の桜葉寿司
・さよりの昆布じめの黄身寿司
・松露含め煮
・白ばい貝の酢味噌あえ
・鯛の身の錦玉子
・たいらぎ塩焼き
・菜の花のお浸し
・火取り干し子
(彩色桜花文大皿 3代澤村陶哉作)

椀物
・ほうぼうの葛打ちすまし仕立て
(明月椀 大正時代/夜桜蒔絵椀 尚古堂造)

造り
・明石鯛と広島の赤貝
(彩色遠山桜花文向付 3代澤村陶哉作)

焼物
・竹皮包
(饅羹重 明治〜大正時代)

口替わり
・うるいと氷魚、花わさびのお浸し
(オールドバカラ猪口 19世紀頃)

煮物
・春菜の卵じめ
(飴釉小鍋 雲井窯造)

御飯
・白魚と蕗の炊き込みご飯
・生くちこあんかけ
(麦藁手茶碗 杉本寿樹作)、(赤楽片口 尾山作)

水菓子
・いちごとはっさくの桜花ジュレ
(オールドバカラクーぺ 19世紀頃)

菓子
・練り切り「春陽」
(御本手桜花文皿 3代澤村陶哉作)

※内容は仕入れ状況により多少変わる可能性があります。

●和食の記事一覧はこちら
●家庭画報ゆかりの料理家がおすすめする注目のレストラン

この特集の掲載号
『家庭画報』2020年4月号

 

〔特集〕東京、北海道、金沢、大阪、福岡ほか 名店の「昼膳」(全18回)

01 和食の名店「懐石 小室」で楽しむ“花懐石”【東京・神楽坂】

02 ご主人の創意工夫が冴え渡る。「銀座 小十」で出合う新たな日本料理

03 「銀座 鮨青木」のご主人が満を持してオープン。美味と美酒の空間「離」

04 若き主人が蒐集した器づかいも楽しみの和食店「御料理 辻」【東京・麻布十番】

05 名物はからすみそば!和久傳料理長であった主人が腕をふるう和食店「おかもと」

06 「平河町 かなや」で“和敬洋讃”のモダン和食をゆったりと

07 温かな雰囲気と実直な味が自慢。路地裏の和食店「麻布 和敬」

08 3つ星シェフが新天地、八ヶ岳へ。1回1組のみのレストランでシェフを独り占め

09 北の大地の豊かな味わいを求めて。話題の北海道フレンチ

10 金沢の昼膳で、北陸の海と山の恵みを存分に味わう

11 古民家の趣ある空間で里山の幸をゆったり堪能【大阪・高槻】

12 奈良の美味を味わうならこちら。食通も支持する実力派の和食店2軒

13 和歌山の豊かな食材を正統派フレンチで味わう。「レストラン オテル・ド・ヨシノ 」

14 歴史を刻んだ日本家屋でモダンな九州フレンチを【福岡市】

15 一面に敷き詰められたうにご飯! 北九州の地の幸を追求する「日本料理トビウメ」

16 料理にも握りにも。福岡育ちの個性が光るすし店「倉満」(宗像市)

17 主人の想いを込めた八寸が卓上に花開く。福岡の気鋭の和食店「御料理 古川」

表示価格はすべて税抜きです。

撮影/鈴木一彦、阿部 浩 ヘア&メイク/Yosuke Nakajima<Perle management> 取材・文/鈴木博美

※価格には別途サービス料や個室料金がかかる場合がございます。
※特集内でご紹介した料理は、食材調達の都合で変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

『家庭画報』2020年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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