連載

菊乃井・村田吉弘【日本のこころ、和食のこころ】十一月 口切り 

茶の湯は決まりごとも多く、面倒やと思うかたも多いことと思います。けど、その本質は「もてなす」という心、気持ちに尽きると僕は思うてます。茶壺の封を切って静かに、一心に茶臼で茶を挽く。お茶事というのは人を迎えもてなすこと、その労力を楽しめることが大切やないかな。お客さまが喜んでくださる。それが自分の喜びでもある。そんな感覚でしょうか。

口切りのための茶碗を選ぶ村田さん。祝いの席なので格の高いものを。

 

例えば箸。日本以外、中国でも韓国でも箸は使いますよね。中国でいちばんいい箸は象牙か金のもの、韓国は銀製。茶の世界では亭主が手ずから削った杉の柾目の両細の箸が最高とされます。杉は軽くて持ちやすい(扱いやすい)、すがすがしい香りがする。亭主が自ら削るという手間と心入れもあって唯一無二の箸となるのです。でもこれはその気持ちを理解して喜ぶお人がおってこそ成立するものなのです。

旅先なんかでお土産を買い求める人、たくさんおられますよね。まあ、たかがしれたもんかもしれません。でも、いただくかたはその気持ちが嬉しいのだと思います。ものより、心を喜ぶ日本人。お金でものごとをはからない民族が日本人やと誇りを持っています。

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