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京都の麸の奥深さ。知れば得意料理が驚くほど増えます

2019.03.13

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随筆家 大村しげの記憶を辿って 私だけの京都へ 第32回「半兵衛麸」

随筆家 大村しげの記憶を辿って かつて、京都の「おばんざい」を全国に広めたお一人、随筆家の大村しげさんをご存じでしょうか。彼女が書き残した足跡を訪ねて、生粋の京女が認めた京都の名店や名品を紹介します。記事一覧はこちら>>


京都を旅するにあたり、京都ならではの場所や味に出会うために、私たちはなにを拠り所とすればよいのでしょうか。京都の情報を多数書き残した、随筆家・大村しげさんの記憶は、まさに京都を深く知るための確かな道しるべ。今回も彼女にまつわる名店を辿ります。

大村しげ大村しげ
1918年、京都の仕出し屋の娘として生まれる。1950年前後から文筆をはじめ、1964年に秋山十三子さん、平山千鶴さんとともに朝日新聞京都版にて京都の家庭料理や歳時記を紹介する連載「おばんざい」を開始。これをきっかけに、おばんざいが知れ渡り、大村しげさんも広く知られるようになる。以来、雑誌や著書で料理、歴史、工芸など、幅広く京都の文化について、独特の京ことばで書き残した。1990年代に車いす生活となったのを機にバリ島へ移住。1999年、バリ島で逝去。 撮影/土村清治


330年続く、麸とゆばの名店


東は滋賀、西は丹波へと続く、京都の大きな街道が五条通です。通りの名所となっている五条大橋のすぐ近くに麸とゆばで知られる半兵衛麸があります。1689年(元禄2)の創業以来、330年続く名店です。

大村しげさんは著書『美味しいもんばなし』(鎌倉書房)で手軽な昼食のお店として、半兵衛麸を紹介していました。

「お店の奥に、まことに居心地のよろしい茶房ができた。(中略)ちょっと予約をしておくと、生麩の点心というのがある」(『美味しいもんばなし』)

同著の発行されたのは1987年(昭和62)。その頃にできた茶房と、麸を使ったお昼の献立は、今も多くの人に愛されています。麸を使った多彩な料理を見れば、誰もが麸の奥深さに改めて気づくことでしょう。

大村しげの記憶をたどって 半兵衛麩

お昼の料理3780円(税込み)。料理は縁高と折敷ほかで構成されています。献立は以下のとおり。縁高/なま麸田楽、利久坊、季節の花麸、きぬさやの炊合せ、季節の細工麸、竹麸の山椒風味、ご飯(紫蘇)、はじかみ生姜、漬物。折敷/丁子麸・きゅうりの酢の物、禅(なま麸のしぐれ煮)、やき麸とおゆばの煮いたん。汲み上げゆば、揚げ物(小巻きゆば・ふきよせ麸・白玉麸)、なま麸・生ゆばのみぞれ椀、よもぎ麸白みそ仕立て。※要予約 ※写真はお昼の料理の一部です。

大村しげの記憶をたどって 半兵衛麩

お昼の料理の素材となる生麸(上からごま麸、あわ麸、よもぎ麸。散らしてあるのは季節の花麸)。各種の麸は半兵衛麸本店で購入できます。

11代当主・玉置半兵衛さんのお嬢様で女将の玉置 淳さんによると、かつては麸の料理はお母様とお手伝いをする女性たちが手作りをしていたそうです。料理を作るのが女性なのは今も変わりません。

「麸の調理や食べ方について、多くの方から質問をいただきます。茶房は、どのように麸を調理するのかをお伝えする場でもあるのです。そのため、お出しする料理は主婦の方にも作れるものにしています。お店で食べ方を紹介するだけでなく、お客様から調理法を教えていただくこともあるんですよ」(玉置 淳さん)。

大村しげの記憶をたどって 半兵衛麩

上品で落ち着いた雰囲気が魅力の茶房。
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