連載

京都の麸の奥深さ。知れば得意料理が驚くほど増えます

11代当主が語る大村しげさんの思い出

11代当主の玉置半兵衛さんにお話を聞いたところ、大村しげさんの非常に親しいご友人であったことがわかりました。まず、大村さんの印象を尋ねたところ、「怖い人でしたよ」と意外なお返事が。

大村しげの記憶をたどって 半兵衛麩 玉置半兵衛さん

半兵衛麸11代当主・玉置半兵衛さん。石門心学の家訓から、相手に対する思いやりを大事にし、現在は「人間学」の講演に招かれることも多い方です。

「私にとっては母親や、少し年が離れているけれど姉のような存在でした。最初はご友人といらして2回目はおひとりでした。そのとき、家内に『ご主人にお会いしたい』とおっしゃったのです。怖いなと思いながらお会いしたら予想に反して優しい方でした」(当主)

そのとき、11代当主は大村しげさんの料理に対する感覚に驚いたといいます。「怖い人」との一言は本物を見抜く舌と、存分に京料理の知識を持っていたことへの緊張感の表れだったのです。

大村しげの記憶をたどって 半兵衛麩

半兵衛麸本店内。来客を出迎えてくれるのがおくどさん。京都ではかまどのことを、おくどさんと呼びます。少し前までは現役で使われていました。

「大村先生は『つかぬことをお尋ねしますが、このお出汁はいつ引いておられますか』とおっしゃいました。普通の方は『出汁を取る』と言います。『出汁を引く』なんて言葉はプロでなければ出てきません。そこで調理場の者が毎朝引いておりますと、お答えしたところ、『そうでしょうね。おこぶの香りがいい』と。舌が素人ではなかったんですね。ごまかしが絶対に利かない方でした」(当主)

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