連載

京都・先斗町を語るなら、まずはこの銘菓をおあがりやす

大村さんが愛したもうひとつの名品

「先斗町駿河屋」のもうひとつの看板商品が春から登場する「竹露」。こちらは細めの青竹の中に流し込んだ水羊羹で、大村しげさんは度々、「竹露」についても記述しています。読者の中には、こちらをご存じの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

「竹露」。1本378円(税込み)。販売期間は4月~9月。味わいはもちろんのこと、天然の青竹を器にした涼しげな姿から、手土産としても人気抜群です。確実に購入するには予約をおすすめします。

「夏日の大好物に水ようかんがある。(中略)するするとのどへすべって落ちる。ちべとうちべとう冷やしていただくと、ご飯よりもけっこうで、それやからやせられない」(『冬の台所』冬樹社)

上記のほか、著書『美味しいもんばなし』(鎌倉書房)にも、同様の記述が見られます。大村しげさんはよく「冷房が嫌い」と書いていましたから、「竹露」が京都の酷暑を乗り切るのに、一役買っていたに違いありません。

先斗町駿河屋は1898年(明治31)創業。買い物の際は、店内に飾られた「里志ぐれ」「竹露」の書をお見逃しなく。

大村しげさんと先斗町駿河屋の交流がもっとも盛んだったのは今から30~40年ほど前。橋本さんが働き盛りだった時代です。先代の3代目店主・橋本さんに当時の大村さんの思い出を聞いてみました。

「なんでもよくご存じの方でした。ごく自然にこちらの心中を心得ていらっしゃるほか心配りのできる方で、親しくさせていただいていました。非常に手に入りにくい他店のお菓子を食べてみたいと話したところ、『任せて』と言ってご用意くださったことを覚えています」

京都のお菓子を熟知していた大村しげさんが、夏と秋に愛した2つの羊羹。栗が美味しい今ならば、里志ぐれです。秋の京都を訪れた際は、ぜひ手土産に選んでみてください。

Information

先斗町駿河屋(ぽんとちょうするがや)

京都府京都市中京区先斗町三条下る

TEL 075‐221‐5210
営業時間 10時~18時
定休日 火曜・隔週水曜 

http://www.pontocho-surugaya.com/

川田剛史/Tsuyoshi Kawata

フリーライター

京都生まれ、京都育ち。ファッション誌編集部勤務を経てフリーライターとなり、主にファッション、ライフスタイル分野で執筆を行う。近年は自身の故郷の文化、習慣を調べるなか、大村しげさんの記述にある名店・名所の現状調査、当時の関係者への聞き取りを始める。2年超の調査を経て、2018年2月に大村しげさんの功績の再評価を目的にしたwebサイトをスタートした。
http://oomurashige.com/

取材・文/川田剛史 撮影/中村光明(トライアウト)

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