連載

京都一の餅屋で知った 赤飯をお祝い事に用いる理由

赤飯はなぜお祝い事に用いるの?

さて、日本ではお祝い事に赤飯が欠かせません。読者の皆さんは由来について考えたことはおありでしょうか? 諸説ある中、鳴海餅本店では江戸時代に「疱瘡(ほうそう)」が大流行して多くの人が亡くなった際のエピソードを紹介しています。

当時の人々は疱瘡をもたらす悪い神を喜ばせれば、病気が治ると信じました。そこで疱瘡神の喜ぶとされた赤い色を病気にかかった子供の絵本のほか、部屋中のものに使ったそうです。また赤い色をした赤飯が食べられて、江戸庶民に疱瘡の快気や厄払いの意味で赤飯を食べる習慣が広まったのだとか。江戸末期になると、病気治癒のために赤いものを食べる風習が失われていき、快気祝いとして、赤飯を食べる風習だけがいまに残ったのではないかというのです。

鳴海餅本店
古来、小豆には呪術的な意味合いが強く、民俗学者・柳田國男は、小豆の意味について研究をしています。
「小豆の赤いといふことが、ほかの食物に見られぬ特色であるが故に、何か特別の效果が有るやうに、感じられたのが始めだつたとも言へるだらう」
「一ばんよく知られて居るのは所謂お稲荷さんの祭であるが、其以外にも疱瘡神送り、卽ちこの病を運んであるく神を退散させる祭りにも、やはり小豆飯を供へたといふ話は普通である」(ともに『定本 柳田國男集 第十四巻』筑摩書房)

上記は柳田國男の小豆に関する研究のごく一部ですが、赤色や赤飯(書物では小豆飯と表現)の呪術性や病を避ける目的であったことが説明されています。
※柳田國男の記述は原文ママですが、一部を常用漢字に置き換えています。

 

京都で一番有名な赤飯のでき上がるまで

鳴海餅本店では忙しい時には、なんと1日1トンもの赤飯を蒸しています。使用するのは佐賀県産のもち米「ヒヨクモチ」と、最も大粒の丹波産大納言小豆。では京都を代表する赤飯のできるまでを紹介しましょう。

鳴海餅本店
2~3時間水につけておいたもち米と、煮た小豆を混ぜたものを用意。

小豆を混ぜたもち米をせいろにセットします。

蒸すこと8分(取材時)。調理中はものすごい蒸気が出続けています。

蓋を開けて、鍋に1杯半ほどの水を回し掛け、再び8分蒸します。

2回の蒸しで赤飯が完成。

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