連載

京女が惚れ込んだ鯖寿司と焼身の箱寿司の裏話

京都の食文化に精通した大村しげさんが、愛した京寿司の名店が「いづう」です。『家庭画報』の読者には名物の鯖姿寿司をご存じの方も多いのではないでしょうか。

大村さんは秋山十三子さん、平山千鶴さんとの共著『とっておきの京都』(主婦と生活社)のなかで「さばずしというと、やっぱり、いづうを一番にあげんならん」(原文ママ)と、こちらの名物を高く評価しています。

おばんざい 大村しげの記憶をたどって「いづう」店主 佐々木勝悟さん佐々木勝悟さん
1978年生まれ。1781年創業の寿司店、『いづう』の8代目当主。大学を卒業後、大阪の「すし萬」にて修業後、いづうの当主となる。

店主が語る京都の鯖寿司

まず「いづう」の店主・佐々木勝悟さんに鯖寿司の基本からお聞きしました。

「京都の鯖寿司はもともと、家庭料理でした。福井県の若狭で捕れた鯖は、すぐにおなか(の中身)を出して塩を詰めて鯖街道(※)を通り京都へ。お祝いやお祭りがあると家庭で作った鯖寿司をご近所にふるまう習慣もありました。福井ではたくさん鯖が捕れますから、地元だと大衆魚ですが、昔の京都の人にとっては遠方から届いた貴重なものだったのです」。1781年、京都の町に定着していた鯖寿司をいづうの初代である、いづみや卯兵衛がプロの技術でほかにない鯖姿寿司として販売しました。これがいづうの始まりです。※小浜藩領内(現・福井県嶺南地方)と京都を結ぶ街道の総称で、かつては主に魚介類の物流ルートでした。

おばんざい 大村しげの記憶をたどって「いづう」血合いを丁寧に取り除いた鯖をバランスよく並べ、その上に棒状にした米をのせて白布で巻く。形を整えたら昆布で巻き、鯖姿寿司が完成します。

京都の家庭と鯖寿司の関係

いまでこそ、おばんざいは高級な居酒屋や京風の食事処のメニューのように思われていますが、本来は日常のおかずを指す言葉です。大村さんは、そうした家庭料理の一つとして鯖寿司についても熟知していました。

「他の地域の方にとって鯖寿司は、懸け紙がしてあり、かしこまって食べるもののように思われるかもしれません。が、京都の人にとっては日常食で、私も学校のお弁当に鯖寿司を持っていったことがあります。私は、大村さんの著書の中でご自身の作り方を紹介されているものを読みました。いづうの鯖姿寿司についても、きっと他のお客様よりも身近なものに感じておられたと思います」(佐々木さん)。

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