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旧暦のお雛祭はこれから! 京都で貴重なお雛様とお料理を楽しむ

2018.03.19

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随筆家 大村しげの記憶を辿って 私だけの京都へ
第2回 「京料理ちもと」店主 松井明太さん、女将 松井 薫さん

かつて、京都の「おばんざい」を全国に広めたお一人、随筆家の大村しげさんをご存じでしょうか。彼女の生誕100年となる今年、大村さんの記憶を道しるべに、生粋の京女が認めた京都の名店や名所をご紹介します。

大村しげ大村しげ
1918年、京都の仕出し屋の娘として生まれる。1950年前後から文筆をはじめ、1964年に秋山十三子さん、平山千鶴さんとともに朝日新聞京都版にて京都の家庭料理や歳時記を紹介する連載「おばんざい」を開始。これをきっかけに、おばんざいが知れ渡り、大村しげさんも広く知られるようになる。以来、雑誌や著書で料理、歴史、工芸など、幅広く京都の文化について、独特の京ことばで書き残した。1990年代に車いす生活となったのを機にバリ島へ移住。1999年、バリ島で逝去。(写真提供/鈴木靖峯さん)



京都を旅するにあたり、京都ならではの場所や味に出会うために、私たちはなにを拠り所とすればよいのでしょうか。京都の情報を多数書き残した、随筆家・大村しげさんの記憶は、まさに京都を深く知るための確かな道しるべ。今回も彼女の愛した名店を辿ります。


恒例となっている、ちもとのお雛祭り


京都・四条大橋の南西すぐの位置に西石垣という細い道があります。西石垣と書いて、読みは「さいせき」。こちらにあるのが創業300年、京料理の名店ちもとです。

大村しげさんは、ちもとで毎年春に行われるお雛祭りをとても愛していました。著書『美味しいもんばなし』(鎌倉書房)、『京 暮らしの彩り』(佼成出版社)では、雛飾りや料理の献立について詳細に綴られています。本が書かれたのは約30年前ですが、ちもとのお雛祭りは現在も続けられていて、毎年必ず訪れるという方もいらっしゃる人気の催事です。

京料理ちもと 

大広間に飾り付けられた中央のお雛様は、大正時代から現代まで、代々、ちもとで受け継がれてきました。「昭和天皇の皇女がお生まれになったときに、複数の人形司が共同で製作したものであったようで、その一つを私どもの先々代が購入しました。私たちはお雛祭りの催しを、少なくとも50年近く続けています」と店主の松井明太さん。

京料理ちもと 中央は立派な御殿雛を頂点に、ちもとの家紋が入った塗りのお道具、いちまさん(市松人形)などが据えられています。塗りのお道具にちもとの家紋である蔦が入っています。

京料理ちもと 向かって右手には江戸時代後期のお雛様と並び、荒物屋を模したミニチュアが箱の中に収められています。食器類はすべて絵を染め付けた焼きもので、大村さんはこの荒物屋がお気に入りでした。実は一つ、意外な生活道具が含まれているので、ぜひ実物でお確かめください。

京料理ちもと 左手にはかつての店内の調理場を模した走り元(京ことばで台所の意味)のお道具という趣向。おばんざいで知られた大村さんらしく、著書ではこちらを丁寧に記述しています。昔は調理場にあったという井戸や店名を書いたかご、かつお節に見立てた木くずを入れた削り器なども見逃せません。

保存にも職人の情熱がこもっています


どれほど丁重に扱っていても、毎年の収納とディスプレイによる傷みは避けられません。しかし御殿が傷んでも、人形司が製作当時から保管している木材を使い、修理することで、木の質感や色調が統一されているのは、さすが。「そうまでして、私たちのお雛様を守ってくださる人形司の心遣いに感激しました。一部だけ木の色合いが変わってしまうと全体の調和が崩れてしまいますから」とご店主。
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