家庭画報の手土産 第14回(全28回) 美しく、そして美味しい手土産は、私たちにとって相手を大切に想う心を伝える必携アイテムです。この特集では家庭画報ゆかりの皆さまや、家庭画報編集部の「美味手帖」から選りすぐりのアイテムを、セレクトしたエピソードとともにご紹介します。前回の記事はこちら>>
手土産上手の美味手帖より「私が今贈りたい、とっておき」
日頃から美味しい手土産を贈り贈られているみなさんが、虎の巻ともいえるご自分の美味手帖から、今贈りたい、とっておきの品々を教えてくださいました。

後藤加寿子さん(料理研究家)
京都市生まれ。懐石料理の第一人者であった母・千 澄子さんのもと、日本料理を学ぶ。和食を次世代に伝えるための活動機関「和食文化国民会議」副会長。7月に次女のすみれさんとともに東京・広尾に和食店「日日の料理 びおら」をオープン。著書多数。撮影/鈴木一彦
旅で出合った好みの味を分かち合う
仕事でもプライベートでも旅をすることが多く、手土産に選ぶのも、行く先々で出合った美味しいものが多いという後藤加寿子さん。今回は生産地の都道府県がすべて異なる5品を選んでいただきました。
「最近惹かれるのは、美味しいのはもちろん、商品の誕生や材料にストーリー性がある品です。誰かに伝えたくなる物語がある商品って、魅力的ですよね」。
後藤さんが手土産を贈る際のマイルールは、「自分の好みを押しつけるのではなく、相手さんが喜ばれるものを」。仕事場への差し入れなら、個包装で分けやすく、手を汚さずにつまめるもの。和菓子をいただくお茶席の水屋に届けるなら、かぶる可能性のない洋菓子やフルーツ、笹巻きずし。個人への手土産は甘党か辛党かなどを考慮しつつ選びます。
「ご家族構成もヒントになります。実家はいただきものの多い家だったんですが、その中にいつも『お子達へ』と熨斗に書かれた『泉屋』の大きなクッキー缶があって。とても嬉しくて、いまだによく覚えています。ときには、ご家族あてに差し上げるのも一案ではないでしょうか」。
下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。
上質な北海道産昆布のふりかけは旨みたっぷり。サラダやパスタにも
大本山永平寺の御用達で、美食家で有名な北大路魯山人も認めた昆布商、「奥井海生堂」。昆布の手すき加工など職人伝統の技を守り、継承する一方、パリのマルシェでの販売といった新しい試みも行っている。「10年ほど前にお店を訪ねて以来、自分用や手土産用によく取り寄せています。私はピリ辛の唐辛子入りが好き」。南高梅入りもある。
●奥井海生堂
ひとふり昆布2本詰合せ(和紙箱入り)
3100円
福井県敦賀市神楽町1-4-10
フリーダイヤル:0120-520-091
インスタグラム:@okuikaiseido_insta
全国発送可(店頭、電話、FAX、オンラインにて)
口いっぱいに広がるはっかの味と香りが爽やかな越後名物
江戸時代、「大津菓子店」が地域に自生していた和種はっか草から抽出したはっか油と砂糖を組み合わせて作った菓子。あめに空気を織り交ぜて棒状に成形し、一昼夜かけて乾燥させる伝統製法から、口溶けのよさと絹のような光沢が生まれる。
●大津菓子店
はっか糖18本入り 864円
新潟県南魚沼市塩沢1450
TEL:025(782)0062
全国発送可(店頭、電話、FAXにて)
口いっぱいに広がるはっかの味と香りが爽やかな越後名物
「新潟の織元さんから教わりました。口の中がすっとする清涼感にみなさん驚かれます」。
愛らしいたぬきはしっとりとした生地と口溶けのよいこし餡が相性抜群
「見るだけで笑顔になるでしょう? 元気を出してほしいときに贈ります」。生地にコクのある鵜之沢養鶏の新鮮な卵を使用しているのは、卵問屋出身の「山田家」ならでは。北海道産あずきと極上のざらめをアルカリイオン水で炊いた餡は上品な甘さ。保存料、添加物不使用。
●人形焼 山田家
人形焼・狸(20個入り)
3243円(オンライン価格)
東京都墨田区江東橋3-8-11
TEL:03(3634)5599
全国発送可(店頭、オンラインにて)
愛らしいたぬきはしっとりとした生地と口溶けのよいこし餡が相性抜群
商品の由来となった伝承話「本所七不思議」を描いた包装紙も好評。
京都の名店から名店へ引き継がれた大徳寺納豆入りの銘菓「濤々」
惜しまれつつ閉店した「京華堂利保」から「鍵善良房」が継承。後藤さんの父・武者小路千家13代家元有隣斎好みの菓子で、香ばしく焼いた麩焼きの煎餅と大徳寺納豆を練り込んだ餡の相性が絶妙。
●鍵善良房
濤々(とうとう)(6個入り) 2200円
京都市東山区祇園町北側264
TEL:075(561)1818
全国発送可(店頭、電話、FAX、オンラインにて)
京都の名店から名店へ引き継がれた大徳寺納豆入りの銘菓「濤々」
「名店同士の信頼関係で伝統ある菓子が続くというのは、京都ならではのよさだと思います。生菓子より日持ちがする点もいいですね」。
岡倉天心ゆかりの2つの地、五浦(いづら)とボストンを結ぶコーヒー
商品名は岡倉天心の書簡に残る「コヒー」という記述に由来。パッケージには天心が五浦海岸に建てた六角堂の水墨画が描かれている。ブラジルとコロンビアの豆のブレンドで目指したのは天心がボストン美術館勤務時代に当地で飲まれていた軽くて飲みやすいコーヒーの再現。「天心の物語もお伝えしつつ差し上げたい一品です」。
●サザコーヒー本店
サザカップオン(一杯どりコーヒー)・五浦コヒー(5P) 900円
茨城県ひたちなか市共栄町8-18
TEL:029(270)1151
インスタグラム:@sazacoffee
全国発送可(店頭、電話、FAX、オンラインにて)
撮影/本誌・西山 航 スタイリング(背景)/阿部美恵 取材・文/清水千佳子
※特集内でご紹介する商品の情報、価格は2022年9月7日現在のものです。
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『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。