レシピ

茎を食べるレタス、ご存じですか? こりこりとした食感がおいしい珍味をぜひご自宅で

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

山くらげの辛子酢味噌和え、レタスがゆ

山くらげの辛子酢味噌和え、レタスがゆ

ちしゃ、あまり聞きなれない名前かもしれませんが、「ちしゃもみ」でお話ししたようにレタスの総称、和名です。中国から伝わった「萵苣」という漢字に日本読みの「ちしゃ」が当てられました。中国古代にあったとされる「萵」(どの地域にあったかは不明)という国からきた「苣」(葉っぱ)を意味します。

レタスの芯の部分を切ると白い粘液がにじみ出てきますが、この様子から日本では「乳草(ちちくさ)」と呼び、これが転訛(てんか)して「ちさ(ちしゃ)」となったともいわれます。

今日はちしゃの一つ「茎ちしゃ」を干した「山くらげ」を使った料理を紹介します。茎ちしゃは、ステムレタスとも呼ばれる結球しないレタスの仲間です。一般的なレタスのように葉を食用とするのではなく、茎の部分を食べます。皮をむいて茹でると青竹のような緑色になり、料理屋はちしゃとうと呼び、味噌漬けなどにしておせち料理や正月料理に使います。茎ちしゃの料理は5月29日に紹介予定です。

山くらげの辛子酢味噌和え、レタスがゆ(左)茎ちしゃ、(右)山くらげ。

茎ちしゃは先の細長い若葉のみを残してすべて葉を取った状態で出荷されます。食用にする茎の部分は品種などによって太さや長さが異なりますが、直径2.5~4cm、長さ20~40cmほどです。

外側の皮は筋張って堅いので分厚くむき、棒状に切って乾燥させたものが山くらげになります。水でもどして和えものや酢のもの、炒めものなどに使いますが、一般的には漬けものがよく知られていますね。食感がこりこりして海のくらげと似ているのでこう呼ばれます。

おかひじき(「おかひじきのひたし、豆腐の味噌漬け和え、梅酢和え」)、きくらげ(「生きくらげのわさび和え、佃煮」、「白きくらげの金柑ビネガー煮、焼きみかん」)もそうですが、山くらげとは海の幸の名前がついた山の幸ですね。

では山の幸の名前がついた海の幸はないかと考え、すぐ思いつくのは海ぶどう、海松(みる)や海苔、海藻は強引過ぎるでしょうか(笑)? 海のものとも山のものともつかない私の料理や話に、毎回お付き合いいただいている読者様に感謝します。今日も野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「山くらげの辛子酢味噌和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

山くらげには、乾燥させる際にほこりや小さな虫が付いている場合もあるので、水洗いでしっかりと落とす

・色と食感が失われないよう、食べる直前に辛子酢味噌で和える

おかひじきはさっと茹でる。茹で過ぎるとシャキシャキ感が損なわれてしまう。

・生麩は200℃くらいの高温で一気に表面だけを揚げる。

・「レタスがゆ」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。

◎旨み ◎塩分 甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

米から時間をかけてゆっくりと炊き、わずか数分の美味のピークを逃さず食する。

かゆ自体には味をつけず、さらっとあっさり仕上げ、最後に添える梅肉の風味と塩味でかゆを食する。

レタスはかゆをよそう際に加えて食感を残す。


山くらげの辛子酢味噌和え、レタスがゆ

「山くらげの辛子酢味噌和え」(左)

【材料(3〜4人分)】
・山くらげ(水でもどして絞る) 40〜50g

・出汁 150〜180cc

・日本酒 大さじ1

・塩 0.2g

・みりん 小さじ1/6

・薄口醤油 小さじ1/2

・おかひじき  30g

・赤こんにゃくのピリ辛煮(黒こんにゃくでもよい。5mm角×3cm長さに切る) 30g
こんにゃくのピリ辛煮」参照
※こんにゃくは少量では炊きにくいので、多めに炊いて常備菜にしたり、他の料理(和えもの、酢のものなど)に利用するとよい。

・生麩(1×2.5×6cm長さ) 2本

・揚げ油 適量

・辛子酢味噌 大さじ2強
玉味噌(白) 30g(作りやすい分量:西京味噌500g、卵黄5個、砂糖30g、日本酒200cc「生姜味噌」参照)、レモン果汁小さじ1/2、酢小さじ1/4、練り辛子  5g

【作り方】
1.山くらげを水でもどす。たっぷりの水を入れたボウルに、山くらげを入れる。もむようにして汚れやほこりを洗い落とす。水を何度か替えて、水が濁らなくなるまでもみ洗いする。

2.たっぷりの水に3時間以上、できれば半日漬ける。山くらげが十分にもどったらざるに上げて水気をきり、両手でよく絞る。さらに乾いた布巾で包んで水分を除く。この時点で最初の6〜7倍の重量になっている。

3.鍋に山くらげと出汁を入れ火にかける。すべての調味料を加え、沸いたら弱火にして10分ほど炊いて火からおろし、そのまま20分以上おいて味を含ませる。

4.おかひじきは、太い茎から枝分かれした柔らかい茎と芽の部分をちぎって使う。太い茎が柔らかい場合はそのまま用いてもよい。鍋にたっぷりの湯を沸かし、おかひじきを入れて30秒〜1分茹でて冷水に放す。冷めたらざるに上げて水気をきり、食べやすい大きさに切る。

5.生麩を揚げる。フライパンに揚げ油を入れて200℃に熱する。生麩を油に入れて表面だけを一気にきつね色に揚げる。全面が同じ状態に揚がるように生麩を油の中で返しながら揚げる。「生麩のみたらし」の「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照。揚がった生麩を1cm幅に切る。

6.山くらげを煮汁から引き上げて汁気を絞り、クッキングペーパーに包んで水分を除く。3.5cm長さに切ってボウルに入れ、おかひじき、赤こんにゃくのピリ辛煮、揚げ生麩を加えて混ぜる。辛子酢味噌を加えて和え、器に盛る。

「レタスがゆ」(右)

【材料(3人分)】
・米 1合

・水 1260cc

・レタス 適量

・平ゆば(市販品。乾物でも生でもよい) 適量

・揚げ油 適量

・梅肉 少々

【作り方】
1.かゆを炊く30分以上前に米をとぎ、ざるに上げておく。米のとぎ方は通常と同じ。

2.熱が全体に回りやすい土鍋(なければ蓋付きの鍋)に、米と水を入れて蓋をして火にかける。

3.沸いたらとろ火にし、蓋を少しずらして、40~45分くらいかけてゆっくり炊く。

4.レタスは食べやすい大きさに手でちぎるか、包丁で切る。冷水につけてしゃきっとしたら水気をよくきる。

5.平ゆばを揚げる。平ゆばを2.5cm×3.5cmに切り、160℃の油で揚げてクッキングペーパーに広げて余分な油を除く。

6.かゆが炊き上がって、米の粒がふっくらと花が咲いたように開いたら、飯粒がくずれないように、一度だけさっとかき混ぜ、火を止めて器によそう。レタスをのせて梅肉を添え、供する。
※3分もするとかゆが水分を吸って、ベタついてくるのですぐに食べる。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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