レシピ

肌やのどを乾燥から守る食材、白きくらげで、体の内側から潤う和のデザートを

プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

白きくらげの金柑ビネガー煮、焼きみかん

白きくらげの金柑ビネガー煮、焼きみかん

金柑がおいしくなってきました。温室栽培のものは11月頃から収穫されますが、露地ものは2月に入ってからの旬の時期に甘みが強くなり、皮のほのかな苦みも薄くなります。

この時期の金柑で「金柑ビネガー煮」を炊いてみてください。そのおいしさに驚かれることでしょう。金柑を炊いて風味が移った蜜でゆり根を炊く方法(「ゆり根と金柑の蜜煮」はお教えしましたが、今回は白きくらげを炊きましょう。金柑の蜜を吸い込んでとろとろになった白きくらげは、あつあつにしても冷たく冷やしても格別です。

白きくらげの金柑ビネガー煮、焼きみかん

白きくらげは春から秋にかけて楢(なら)や栗などの倒木や枯れ枝に生え、主に日本と中国で食べられます。きくらげと同じく乾燥すると小さく縮み、中国では「銀耳(ぎんじ)」と呼ばれて珍重され、不老長寿の薬として宮廷料理にも用いられてきました。ゆっくり炊きもどすと半透明でとろっとなめらかな舌触りになり、たまりません。

そして今日はもう一品、みかんの懐かしい食べ方を紹介します。焼きみかんをご存じでしょうか? 何それ!? という反応か、ああ懐かしいという反応に分かれます。昔は石油ストーブは茶の間にしかなく、そこに家族が集まりました。やかんをのせて湯を沸かすのはもちろん、ストーブでいもやスルメなどいろんなものを焼いて食べたという記憶がある方もいらっしゃるかもしれませんね。その一つに焼きみかんがあります。

白きくらげの金柑ビネガー煮、焼きみかん

寒い地方ではみかんが凍り、それを火鉢やストーブにのせて溶かして食べていたのが、いつのまにか焼きみかんになったのかもしれません。高度成長とともに日本人は少しずつ豊かになって家にも暖房が整い、火鉢やストーブが生活から消えていくにつれて焼きみかんも記憶の彼方となってしまいました。

焼きみかんをご存じない方はホットオレンジだと思ってください。焦がし焼きしたみかんの皮をむいて口に入れると、ほのかな香ばしさと熱い果汁が口いっぱいに広がります。

「蜜柑(みかん)、金柑(きんかん)、酒の燗(かん)、子供に羊羹(ようかん)やら泣かん、親が折檻(せっかん)子は聞かん、田舎のねえちゃん気が利かん、相撲とりゃ裸で風邪ひかん」(大分県の童歌)。今日も野菜料理を楽しみましょう。

ちょっとしたコツ

・「白きくらげの金柑ビネガー煮」は、野菜料理をおいしくする7要素中4要素を取り入れている。

◎旨み 塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

白きくらげは時間をかけて下煮し、柔らかくとろとろにした後に蜜で炊く。

・「焼きみかん」は、野菜料理をおいしくする7要素中4要素を取り入れている。

◎旨み 塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

黒い焦げ目がつくくらいしっかり焼いたほうが香ばしさも加わりおいしい。

・焼きみかんの醍醐味を味わうには、調理用手袋を二重にしてあつあつのうちに皮をむいて食べる


白きくらげの金柑ビネガー煮、焼きみかん

「白きくらげの金柑ビネガー煮」(上)

【材料(3人分)】
・金柑ビネガー煮(縦に4等分する) 6個 「金柑ビネガー煮」参照

・白きくらげ 5g

・金柑ビネガー煮の蜜 100cc

・水 100cc

・グラニュー糖 大さじ4〜5(好みで)

【作り方】
1.白きくらげをもどす。白きくらげを鍋に入れ、たっぷりの水(分量外)を注いで20分ほどそのまま置く。火にかけて沸いたら弱火にして1時間30分ほど(白きくらげの質によって変わる)とろとろになるまで炊きもどす。

2.白きくらげがとろっと柔らかくなったらざるに上げて、水をためたボウルにざるごと入れて優しく洗い、水気をきる。乾燥状態で5gだったものが250gを超えている。

3.鍋に金柑ビネガー煮の蜜を入れ、水とグラニュー糖を加えて火にかける。グラニュー糖が溶けたら白きくらげを入れ、沸いたら弱火にして10分炊く。あつあつで供する場合は金柑ビネガー煮を最後に加えて温め、器に盛る。冷たいものを供する場合は鍋を火からおろして金柑ビネガー煮を加え、常温まで冷ましてから冷蔵庫で冷やす。

「焼きみかん」(下)

【材料(2人分)】
・みかん(甘いだけでなく酸味が程よくあるもの) 2個

【作り方】
1.みかんを強火のグリラー、またはガスコンロに焼き網をのせて皮が黒く焦げるくらいに焼く。

2.中まで熱くなったら取り出し、調理用手袋を二重にして皮をむきあつあつを食べる。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。

文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗

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