今や、その存在を知らない人はいないだろう。ミラノ・コルティナ冬季五輪の顔、“りくりゅう”こと、三浦璃来&木原龍一組。カップル競技の強化が課題とされてきた日本フィギュアスケート界に誕生した、ペアの五輪チャンピオンだ。今、二人がなぜここまで愛され、大人気となっているのか。それは実力に加え、幾度もの危機を乗り越えて、今に至る生き様や信頼関係が感動を呼ぶから。歴史を変えた“奇跡のペア”、その魅力を紐解いていく。
本誌2026年1月号より。
晴れ着姿で、石清水八幡宮へお詣りに
たゆまぬ努力で、歴史を変えた奇跡のペア
お二人は、2023年4月号ではスケート衣装、26年1月号は晴れ着姿でご登場。その撮り下ろしのなかからとっておきの写真と、インタビューで特に印象深かったコメントを、金メダル記念としてご紹介する。
撮影/鍋島徳恭 きものコーディネート/相澤慶子 着付け/川上まり子 ヘア&メイク/重見幸江〈gem〉 取材協力/石清水八幡宮
日本列島が歓喜に沸いた「りくりゅうペアの積み重ねて来られた努力に大神様の御心が堪能されたこととも思い、石清水八幡宮職員一同心よりお慶び申し上げたく存じます」―石清水八幡宮 Instagramより
Riku Miura2001年12月17日、兵庫県生まれ。中京大学卒業。女子シングル後、15年ペア転向。22年北京五輪で日本ペア史上初となる7位入賞。今大会の、SP5位からの劇的な金メダルで“りくりゅう”旋風、日本を席巻中。
華やかな空色と洗朱(あらいしゅ)の雲取りに、端正な友禅で花の丸文様を描いた振袖で装う三浦さん。氷上での戦いを意識し、武将の鎧の威しを取り入れた勇壮な帯で。振袖・帯/創作京呉服 多かはし 伊達衿・帯揚げ・帯締め/和小物さくら 髪飾り/かづら清老舗 バッグ/井澤屋 履物/銀座ぜん屋本店
Ryuichi Kihara1992年8月22日、愛知県生まれ。中京大学卒業。2013年男子シングルからペア転向。19年に結成した三浦選手と歴史を塗り替え続け、4度目の五輪となる今回は日本にペア初、歓喜の金メダルをもたらした。
グレートーンでまとめたノーブルな姿の木原さん。小さなドットを織り出した風通お召のきものに、仙台平の袴、辻ヶ花染めの名手・小倉淳史さん作の羽織で凜とした装い。神様に礼を尽くして参拝し、心新たに氷上へ向かう。きもの・羽織・袴一式/銀座もとじ 男のきもの 履物/銀座ぜん屋本店
二人の努力と信頼が、奇跡のドラマを起こした
個人戦、SP5位からの大逆転。涙、涙の金メダル

写真右/ロイター〈アフロ〉 写真左/ZUMA Press〈アフロ〉
個人戦SP5位。大逆転で優勝したFS最後のシーン
誰もが五輪金メダル候補と見ていた世界王者のりくりゅうを襲った、個人戦ショートプログラム(SP)の不運なミス。心が折れ、試合直後から泣き続けた木原選手だが、支えてくれた三浦選手とともにフリースケーティング(FS)では気迫溢れる魂の演技を披露。大逆転で金メダルを獲得した。映画のワンシーンを思わせるフィニッシュポーズも、演技後、涙が止まらない木原選手を聖母マリア様のように優しく抱き抱える三浦選手(右写真)も尊い。
三浦璃来選手と木原龍一選手が瞬く間に日本国民の心を奪った理由は、お互いをどこまでも信じ、支え、思い合うパートナーシップにもある。茶目っ気に溢れた二人の楽しいやりとりは、2023年4月号での特別インタビューでも本領発揮。当時のインタビューの抜粋と、今大会、演技直後の囲み会見や帰国後の記者会見から、二人の絆がわかる言葉をいくつかご紹介する。
信じ合い、思い合う心が胸を打つ珠玉の言葉
[23年4月号よりインタビューを一部抜粋]―性格はどう思われますか?木原選手 自分でやると決めたことはちゃんとやります。でも、頑張れないときはまったく頑張れない。立ち直るまで、少し時間がかかるかもしれません。璃来ちゃんはメンタルが強いですね。怒られても立ち直りが早いです。
三浦選手 そうなんですよ、私! 怒られると「ここで挫けたら嫌だな。先生に負けたくないな」って。そういうときほど、絶対に「やったる!」と思います。
「龍一くんは大事なことはすぐにやる人。ポジティブです(2023年4月号より)」―三浦璃来
「璃来ちゃんはスイッチが入ると素晴らしい集中力を発揮します(2023年4月号より)」―木原龍一
2023年4月号「今、花開くカップル競技」より
撮り下ろしとインタビューを行った22年8月末(ウェアは当時のもの)。2月の北京五輪での演技で注目度が高まり始めた時期だった。
撮影/本誌・坂本正行
撮影協力/ホテルニューオータニ 東京
[26年五輪後の囲み会見や記者会見より]■三浦選手から木原選手へ「今回は私がお姉さんでしたが、ここまでの7年間はずっとリードしてくれました。その結果、私が今回サポートする側に回れたのだと思っています」「木原選手が引退するときは私も一緒に引退するとき。違う人と組んでまた続けるということは絶対にないです」
■木原選手から三浦選手へ「普段は僕がお兄さんなのですが、あの日は三浦選手のメンタルの強さを改めて感じて。これが7年積み上げてきた絆なんだなと思いました」「二人はやはり信頼関係が強い。自分たちでいうのもなんですが、ほかのチームよりも圧倒的に仲がいいのかな」
勝負の神様、石清水八幡宮。りくりゅうファンの間では、聖地の一つに認定ともいわれる。上・三ノ鳥居から南総門へ向かう参道。
徳川3代将軍家光公により造替された、御社殿の回廊で。平成28(2016)年国宝に指定。
鳩みくじを手に。
二人で相談しながら書いた絵馬。「金」のひと文字はあえて入れず。
国家鎮護、厄除開運、必勝・弓矢の神
石清水八幡宮貞観元(859)年、清和天皇の命により建立。八幡大神様は源氏一門の氏神、武神でもあり、織田信長、豊臣秀吉・秀頼親子、徳川家光から崇拝されてきた。本社10棟などが国宝。伊勢神宮とともに、皇室が先祖に対して祭祀を行う二所宗廟。
京都府八幡市八幡高坊30
TEL:075(981)3001
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