Q6 今回の世界陸上で、ご自身の種目以外で楽しみにされている競技はありますか?
A 女子の400m、400mハードルです。私と同じ、New Balanceの選手であるボル選手(オランダ)、シドニー選手(アメリカ)がここ数年席巻していて、新記録を次々出しています。それぞれキャラクターが際立っていて、この2人の対決が見どころです。
Q7 この先、どんな選手になっていきたいですか?
A 父が高校のとき贈ってくれた『一志走伝』というテーマを体現できる選手になりたいです。その中で、中長距離のいろいろな種目で世界のトップを走り、たくさんの子どもたちやジュニア層の選手に夢を与え、多くの方に生きる希望を与えられることが理想です。
ただ私は不器用なので、父の与えてくれたテーマそのままに、走りで背中を見せることしか今はできません。なので自分の言葉に縛られたり、相手の言葉に傷ついたりもして、言葉で伝え合うということがうまくできません。いつか、走りだけでなく、言葉にも魂と自信を込めて発信できるような、強い選手、人間になりたいです。
また、今は子どもの頃の夢だった、走ることで世界を回ることができているのに、競技を楽しむということが本当の意味でできている気がしません。それは、すべての物事の悪いほうばかりを見てしまうことに起因していると思います。世界の美しい風景や瞬間を見て、近くにいる人と笑い合う、そんな当たり前の幸せを心から感じられるようにもなれたらいいなと思います。
日本選手権の5000メートルでは14分59秒02の大会新記録で4連覇。1500メートルでも4分4秒16で6連覇した田中希実選手(中央)。
田中希実1999年兵庫県生まれ。同志社大学卒業。New Balance所属。2025年8月現在、女子1000メートル、1500メートル、5000メートルほか13の日本記録をもつ国内最強のランナー。東京2025世界陸上は、19年ドーハ、22年オレゴン、23年ブダペストに続き、4度目の出場となる。