連載「アスリート×社会貢献活動 スポーツでつながる、広がる社会貢献活動の輪」第4回 5月には横浜で、世界最高峰の大会とされる「ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ・パラシリーズ」が開催されるトライアスロン。海や川、山などの自然環境を舞台に行われるスポーツとして、競技を持続可能なものにするため、さまざまなサステナビリティの実現に取り組んでいます。今回は2025国内シーズンの開幕戦となる「石垣島トライアスロン大会」で行われた取り組みを取材しました。
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すがすがしい晴天に恵まれた、沖縄県の石垣島。ここで2025年4月12日に、日本トライアスロン連合とオフィシャルパートナーのアシックスの共同で開催された環境保全イベントが「オリンピアン・パラリンピアンとプロギングチャレンジin 石垣島トライアスロン」です。
ゲストには東京2020パラリンピック 男子トライアスロン銀メダリストの宇田秀生選手、シドニー・アテネ・北京オリンピック 女子トライアスロン代表の庭田清美さん、アシックスアンバサダーで競泳パラリンピアンの一ノ瀬メイさんが登場。
翌日行われる石垣島トライアスロン大会のランニングのコースを会場に、28名の参加者と共に、走りながらごみ拾いを行う「プロギング」を行いました。
参加者は約1時間かけて5kmを走った。

写真右から2人目が一ノ瀬メイさん、右が宇田秀生選手、右から3人目が庭田清美さん。「トライアスリートが素晴らしい環境をレースで使わさせていただいているので、今回の活動を通して島をより良くしていきたいです」(庭田清美さん)。
参加者は、アシックスが気候変動に対する取り組みとして4月30日までグローバルで実施している「ラン フォー リフォレステーション チャレンジ」にも同時参加。専用アプリを使って5kmを完走・完歩すると、森林再生や生態系保護を行う国際的なNGO「ワン・トゥリー・プランテッド」を通して植樹される。「今日は28名が参加するので木が28本植えられるということで非常に大きなインパクトだと思います」(一ノ瀬メイさん)。
“ナイスクリーン”の掛け声と共に。競技会場となる島をきれいに
「大自然を舞台にしているので、天候や波の高さなどが毎回違って同じレースが二度とないところがトライアスロンの魅力です」。
イベント直後のインタビューに答えてくださったのは、東京2020パラリンピック銀メダリストでパリ2024年パラリンピック日本代表の宇田秀生選手。
宇田秀生 1987年滋賀県生まれ。パラトライアスロン選手。東京パラリンピック・トライアスロン男子の銀メダリスト。NTT東日本・NTT西日本所属。2013年、仕事中の事故により利き腕である右腕を切断。半年後、リハビリの延長で始めた水泳をきっかけにトライアスロンに出会う。2015年にレースデビューし2か月後のアジア選手権で優勝。2017年に世界ランキング1位に。
「同じコースでも昨年は波がなくて泳ぎやすかったのに、今年は波がすごくて溺れそうなくらいとか、雨が降れば自転車の路面が滑るとか、全く違うレースになってしまうので、選手たちはどんな状況にも対応できる力が必要です。そんななかで、レースまでに想像できないくらいたくさんの練習や準備をしてきた人たちが、自分の力を全て発揮している姿を見ることができるのがこの競技ならではの魅力かなと思います」。
自然とともにあるスポーツだからこそ、環境保護活動へも自ずと関心が向きます。宇田選手は、毎年石垣島でビーチクリーン活動に参加していましたが、プロギングに参加したのは初めてだったそう。
「5キロの距離を走りながらゴミを探して拾って、満杯になったゴミ袋を持ちながら走るのは初めての体験でした」。参加者とともに楽しみながらゴミを拾えたという宇田選手。「誰かがゴミを拾ったら周りの人がナイスクリーンと掛け声をかけるのですが、それがすごく楽しかったですね。チームワークを実感できました。街のゴミ拾いでも、ナイスクリーンと声をかけあえるようになったらいいですよね」。
集めたゴミ袋は58袋になった。「思っていた以上にゴミをたくさん拾うことができました。やはり石垣島トライアスロン大会は素敵な環境と人の中で走る大会なので、もっとゴミのないきれいな場所になってほしい」(宇田秀生選手)。