空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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森林火災の煙
気象衛星画像で、灰色や薄茶色のモヤモヤしたものが日本付近に広がる様子が捉えられることがあります。一見すると雲のようにも見えますが、白い雲とは明らかに色が異なります。これは、遠く離れた場所で発生した大規模な森林火災の煙である場合があります。
森林火災によって大量に発生した煙やすすは、エアロゾルと呼ばれる微粒子となって上空の風に乗り、国境を越えて日本付近や洋上まで運ばれてくることがあります。大気中に多量のエアロゾルがあると、地上では景色がかすんで見通しが悪くなり、太陽光が強く散乱されて朝日や夕日がより深い赤に染まることがあります。
こうしたはるか遠くからの微粒子は、空の景色だけでなく、雲の形成にも深く関わっています。JAMSTEC(海洋研究開発機構)などの研究では、シベリアの森林火災で発生したエアロゾルが約1週間かけて数千キロメートル離れた海域まで運ばれ、氷の雲の芯になる能力を持っていたことが分かりました。今後、地球温暖化が一因でこうした森林火災の増加が懸念されており、雲や気候に与える影響が注視されています。
「今日の空、いつもとなんだか雰囲気が違うな」と感じたとき、気象衛星画像を見てみてください。はるか遠くの土地から運ばれてきた煙が広がっている様子が映し出されているかもしれません。
写真/NASA
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/三上 萌々 Momo Mikami気象予報士・防災士。テレビ高知アナウンサーを経て、現在はフリーアナウンサーとして「TBSNEWS」のニュースキャスターなどを務める。防災・減災のため執筆や講演等に取り組み、全国のJリーグクラブを巡り、サッカーと気候変動について啓発活動を行う。
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Instagram●参考文献:JAMSTEC(海洋研究開発機構)『シベリア森林火災が遠く離れた洋上の雲のもととなる?』URL:https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20250130_3/、北海道大学 気候変動に挑む『小さな微粒子が世界に与える大きな影響』安成哲平 URL:https://www.global.hokudai.ac.jp/climate-change/ja/article/1231