空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
連載一覧はこちら>>
空の境界線
空にまるで境界線が引かれたかのように、青空と雲の広がった部分がくっきりと分かれた光景に出合うことがあります。その不思議な景色に、何かの前触れではないかと話題になることもあるようですが、たまに見られる現象です。なぜこのような空が広がるのでしょうか。
この現象は、性質の異なる空気のまとまり(気団)が隣り合うことで生み出されます。気団によって水蒸気の量や気温などが異なり、雲のできやすさにも違いが生じます。一方では湿った空気に伴って雲が広がり、もう一方には乾燥した空気があって雲はできずに青空が広がります。例えば、高い空のジェット気流に伴って濃い巻雲が広がる場合、その周囲の乾燥した空気との境目が明瞭に見られることがあります。目には見えない空気の境目が、雲によって可視化されているのです。
雲があるところと晴れたところの境目は、宇宙から撮影された気象衛星画像でもはっきりと確認できます。自分の頭上に見えている景色が、さらに大きなスケールで広がる雲の端の一部分であることがわかります。
こうした境目は同じ場所にとどまらず、気団の移動とともに、少しずつ位置を変えていきます。見つけたときは気象衛星画像で時間をさかのぼり、どこからやってきたのかを探ったり、この先の動きを実際の空で眺めたりしながら、移り変わる空の境界線を楽しんでみてください。
●関連記事を読む
・
渦が並んだ不思議な形の雲。気象衛星を使った雲の観察は、スマホで簡単にできます・
身近なところに「雲」がある! 雲ができる仕組みを解説・
雲は地震の前兆にならない。地震が不安なら日頃の備えの確認を・
私たちの暮らしを見守る宇宙の「ひまわり」。7月14日はひまわりの日 
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
X・
Instagram・
YouTube文/前田 智宏 Tomohiro Maeda気象キャスター・気象予報士・防災士。福井放送アナウンサーを経て、大阪・MBS「よんチャンTV」などテレビ・ラジオで気象解説を担当。京都大学防災研究所で防災気象情報に関する研究に従事し、博士後期課程在学中。
X・
Instagram
●参考文献/『雲の超図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、『雲を愛する技術』荒木健太郎著(光文社)