名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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難読名字:硤合(そあい)
今年のノーベル化学賞は、日本からは硤合憲三東京理科大学名誉教授が受賞しました。
日本人のノーベル賞受賞は米国籍取得者を含めて31人目、化学賞は2年連続10人目の受賞となります。授賞理由は「不斉自己触媒反応の発見」とのことです。
ところで、受賞のニュースを見た時、この名字を読むことができたでしょうか。
「硤合」と書いて「そあい」と読むかなりの難読名字です。そもそも「硤」という漢字は初めて見た、という人がほとんどだと思います。パソコンによっては正しく表示されないこともあります。
「硤」という漢字は主に中国で使われるもので読み方は「こう」「ぎょう」です。訓読みはありません。山と山に挟まれた狭い所を指す言葉で、中国では地名などに使われています。日本では険しくて狭いところを「そあい」と言いました。漢字では「阻隘」や「岨隘」とあてることが多いようです。
一方、広島県では三原市を中心に「礒合」という名字が集中しています。この「いそあい」から「そあい」に変化したとも考えられます。
この「そあい」に対して日本では通常ほとんど使われていない「硤」という漢字を用いて「硤合」としたものが由来でしょう。あえて「硤」という漢字をあてたことには、地形的なことが関係していると思います。
いずれにしても普通の人が考えつくようなものではなく、とても教養の高かった人があてたと思われます。
現在は広島県安芸郡府中町などにある極めて珍しい名字で、硤合憲三名誉教授も広島県の出身です。
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森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
墨アート製作 書家・越智まみ(
https://esprit-de-mami.com/)