空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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霧と苔庭
しっとりとした緑が美しい苔庭。その景観を支えるものに、霧や朝露などの大気現象があります。一般的な植物とは異なり、コケには水を吸い上げる根がなく、生きるために必要な水分や栄養分を表面から直接取り込むからです。
ところが、霧の日数は日本の各都市で減少していて、美しい苔庭の多い京都ではその傾向が特に強く見られます。原因は未解明な部分も多いものの、都市化が背景の一つにあると考えられています。建物や舗装された場所が増えると、ヒートアイランド現象によって気温が高く、湿度が低くなり、霧が発生しにくくなります。
京都市内の庭園のコケの生育環境について調べた研究では、湿潤な環境を好むコケが多い庭とコケの少ない庭を比べると、前者の方が実際に気温が低く、湿度が高いことが明らかになりました。また、特に街の中心部の苔庭では、乾燥に弱いコケが姿を消し始めているといいます。
研究によると、庭園の周りのおよそ1キロメートル以内の範囲に緑地が多いほど気温が低くなる傾向があり、周囲の緑地がコケへの熱や乾燥のストレスを和らげると考えられています。苔庭の美しさは、庭の中だけで守られているわけではなく、気象条件や周囲の街の環境ともつながっているのです。美しいコケに癒されながら、その景観を維持するために、身近な街の緑や環境をどう守っていけるか、少し考えてみるのはいかがでしょうか。
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写真/前田智宏
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/前田 智宏 Tomohiro Maeda気象キャスター・気象予報士・防災士。福井放送アナウンサーを経て、大阪・MBS「よんチャンTV」などテレビ・ラジオで気象解説を担当。京都大学防災研究所で防災気象情報に関する研究に従事し、博士後期課程在学中。
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Instagram●参考文献:『コケはなぜに美しい』大石善隆著(NHK出版)、気象庁『大都市における霧日数の長期変化傾向』URL:https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/himr/himr_fog.html、『Urban heat island effects on moss gardens in Kyoto, Japan.』Yoshitaka Oishi URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s11355-018-0356-z