空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
連載一覧はこちら>>
梅雨と秋雨
日本には、「梅雨」「秋雨」という2つの代表的な雨季があります。どちらも季節の移り変わりを象徴する雨季ですが、長期的に見ると、雨の量や降り方にそれぞれ異なる変化が見られているのです。
梅雨(6~7月)と秋雨(9~10月)における降水量の長期変化について、気象研究所は、1901年〜2020年までの過去120年間の西日本から東日本にかけての観測データを解析しました。その結果、梅雨期は降水量が長期的に見て増加傾向にあり、特に、6月下旬〜7月にかけて、日本海側の地域で増加が目立つことが明らかになりました。一方、秋雨はどうでしょうか。長期的に見ると梅雨期とは逆に、秋雨期の降水量は減少傾向にあり、特に、9月下旬〜10月上旬にかけてその傾向が見られました。
ただし、どちらの雨季も全体として、1日の最大降水量や1日の降水量が100ミリを超える大雨の頻度は増加傾向にあります。その傾向は梅雨期に強く表れており、1日の最大降水量では、西日本の日本海側で100年あたり23.5%の増加傾向が見られました。
なぜこのような違いが生じているのかは、まだ十分には分かっていませんが、梅雨と秋雨では、雨をもたらす大気の流れや背景となる気象の仕組みが異なり、その違いが長期的な変化をもたらしている可能性があります。また、解析された変化が温暖化シミュレーションで予測されている変化と似ていることから、地球温暖化が影響している可能性も指摘されているのです。
日本の主要な雨季の特徴が変わりつつある今、私たちの気象情報への意識や事前にできる大雨への備えも、一層アップデートしていく必要がありそうです。
写真/NASA
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
X・
Instagram・
YouTube文/三上萌々 Momo Mikami気象予報士・防災士。テレビ高知アナウンサーを経て、現在はフリーアナウンサーとして「TBSNEWS」のニュースキャスターなどを務める。防災・減災のため執筆や講演等に取り組み、全国のJリーグクラブを巡り、サッカーと気候変動について啓発活動を行う。
X・
Instagram●参考文献/『Long-Term Precipitation Changes in the Baiu and Akisame Seasons in Japan over the Past 120 Years (1901–2020)』Hirokazu ENDO URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmsj/101/4/101_2023-019/_article