空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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秋の空が高く見える理由
「天高く馬肥ゆ」という言葉があります。秋は空が澄み渡って高く晴れ、馬は肥えてたくましくなるという意味で、爽やかな秋晴れの際に使われることが多いようです。この言葉のように秋の空は高いというイメージがありますが、本当にそうなのでしょうか。
雲の現れる対流圏の高さを空の高さだと考えると、実は秋の空と春の空の高さは同じです。気温が高くなるほど対流圏は高くなるため、最も高いのは夏で、最も低いのは冬となります。では、なぜ秋の空を高いと感じるのか疑問が湧いてくるかもしれません。その疑問を解くカギは、空気がどれほど澄んでいるか、そして高い空に雲があるかにあるようです。
秋は大陸出身の乾いた空気を持つ高気圧が日本に次々とやってきます。この高気圧に覆われると、水蒸気や塵が少なく澄んだ青空が広がることが多くなります。一方、夏の日本は暖かく湿った空気を持つ太平洋高気圧に覆われます。この高気圧に覆われると、空気中の水蒸気も多くなり、水蒸気が太陽光をあちらこちらに散らばらせるため、空が白っぽく見えてしまいます。春も秋と同様に、大陸出身の高気圧に覆われるため空気は乾燥しているものの、積もっていた雪が解けたり、地面を覆う植物がまだ育っていなかったりすることなどから、地面から塵やほこりが舞いやすく、空がかすみやすいです。
また、秋には
巻雲や
巻積雲など、対流圏の高い空に雲が出やすくなります。快晴の空は夏でも秋でも高さを感じにくいですが、高い空だけに雲が出ていることによって、私たちはその高さを感じることができるのです。
高い空に雲の浮かぶ秋の青空を見ると、心も晴れ晴れしますよね。秋晴れの日には、ぜひ空の高さを感じてみてください。
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/津田 紗矢佳 Sayaka Tsuda気象翻訳者・気象予報士・防災士。天気や防災をわかりやすく伝える“気象の翻訳者”として活動中。テレビ朝日「スーパーJチャンネル」など出演。絵本『大あらしだ!ハリケーンがやってくる』(福音館書店)の翻訳を担当。
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Instagram●参考文献/『広辞苑 第五版』新村出編(岩波書店)、『もっとすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)