空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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コオロギの声と気温の関係
秋分の日が近づき、秋の夜長に聞こえてくる虫たちの声が季節の移ろいを感じさせます。実は、秋に鳴く虫の代表格であるコオロギの鳴き声と気温には関係があり、気温が高いときはテンポが速く、気温が低いときにはゆっくりになると言われています。
鳴き声の違いは、外気温に伴ってコオロギの体温が変化することから生まれると考えられています。コオロギは、左右の翅を震わせてこすり合わせることで音を出しており、体温の高低によって翅を動かす筋肉などの働きに違いが出るため、鳴くテンポにも変化があらわれることがわかっています。
このような特性を応用し、コオロギが一定時間内に鳴く回数を数えることで、鳴いている場所の温度を導き出す計算式が提唱され、虫の鳴き声を簡易的な温度計代わりにするような試みもかつてはありました。ただし、多くの種類のコオロギは専用器具なしでは数えられないほど早く翅を震わせて音を出すため、鳴く回数を正しく数えられないという問題があります。さらに、コオロギが巣穴や隙間などではなく気温変化の影響を受けやすい木や草など高い場所にいる習性を持つ必要もあることなどから、鳴き声から気温を推定できるコオロギはほとんどいないと指摘されています。
気温の下がる秋の夜には、コオロギたちの鳴き声がよりスローテンポに聞こえ、秋のはじめとは違った趣を楽しめるかもしれません。よく耳をすませて、虫の音からも秋の深まりを感じてみるのはいかがでしょうか。
写真/写真AC
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/前田 智宏 Tomohiro Maeda気象キャスター・気象予報士・防災士。福井放送アナウンサーを経て、大阪・MBS「よんチャンTV」などテレビ・ラジオで気象解説を担当。京都大学防災研究所で防災気象情報に関する研究に従事し、博士後期課程在学中。
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Instagram●参考文献:『コオロギの発音機構』八木寛著 URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/hikakuseiriseika1984/5/2/5_2_50/_pdf/-char/ja、『鳴く虫を楽しむ―松浦一郎著作集―』松浦一郎著(日本直翅類研究会)、Jang, Soojin et al.『Calling song and phonotactic selectivity in the field cricket Teleogryllus emma (Orthoptera:Gryllidae)』URL:https://oak.go.kr/central/journallist/journaldetail.do?article_seq=10618、A. E. Dolbear『The Cricket as a Thermometer』URL:https://www.journals.uchicago.edu/doi/pdf/10.1086/276739、Natasha Mhatre et al.『Changing resonator geometry to boost sound power decouples size and song frequency in a small insect』URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3365161/、R.B. Toms『Effects of temperature on chirp rates of tree crickets(Orthoptera: Oecanthidae)』URL:https://www.tandfonline.com/doi/epdf/10.1080/02541858.1992.11448264、Monika J. B. Eberhard et al.『Temperature effects on the tympanal membrane and auditory receptor neurons in the locust』URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s00359-014-0926-y#Sec1