空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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夜光雲(やこううん)
ロケットの打ち上げには、夢や希望が詰まっているように感じます。未知の多い宇宙へ向けて、人類の知恵と情熱をかけて飛び立つからでしょうか。そんなロマン溢れるロケットから、特別な雲が発生することがあります。
打ち上げられたロケットの排気ガスは雲の芯となり、周囲の水蒸気が瞬時に氷の粒となって雲をつくります。通常の雲は、対流圏と呼ばれる地上から高度15キロメートル程度までの高さに現れますが、ロケットによる雲は、中間圏と呼ばれる高度75~85キロメートル程度の高い空に出現します。地球上で最も高い所に現れるこの雲は「夜光雲」と呼ばれます。夜光雲はロケットの打ち上げによって現れることがあるほか、夏の半球の高緯度地域で日の出前や日の入り後に見られることがあります。自然にできる夜光雲は、非常に小さなチリに氷の結晶が付着してできたもので、このチリは隕石などに由来する宇宙起源のものも含まれていると考えられています。また、夜光雲は中間圏の気温が最も低くなる夏にのみ発生し、そのときの気温はマイナス120℃以下と非常に低温になっています。
晴れて雲のない日であれば、日の出前や日の入り直後に、鹿児島県の種子島から打ち上げられたロケットによる夜光雲を関東を含め太平洋側の広い範囲で見られる可能性があります。ロケットの打ち上げの際は、特別な雲にも注目してみてください。
写真/まりも
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/津田 紗矢佳 Sayaka Tsuda気象翻訳者・気象予報士・防災士。天気や防災をわかりやすく伝える“気象の翻訳者”として活動中。テレビ朝日「スーパーJチャンネル」など出演。絵本『大あらしだ!ハリケーンがやってくる』(福音館書店)の翻訳を担当。
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Instagram●参考文献/『雲を愛する技術』荒木健太郎著(光文社)、『すごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、Interanational Cloud Atlas『Noctilucent clouds (polar mesospheric clouds)』URL:https://cloudatlas.wmo.int/en/noctilucent-clouds.html