空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
連載一覧はこちら>>
スーパーセル
激しい
竜巻によって、車や木造の建物が空に吹き飛ばされる様子をニュースで見たことがあるかもしれません。気象庁の統計によると、9月は年間で竜巻が最も多い月です。きょうは、強い竜巻を伴う恐れのある巨大な
積乱雲についてご紹介します。
積乱雲と一口に言っても、実は種類があります。その決め手となるのは、地上から上空にかけての方向の風の「ずれ」です。風のずれが小さいときの積乱雲は、上昇気流と下降気流の位置が大きく変わりません。雲の中で、下降気流が上昇気流を打ち消し、通常、積乱雲は30分から1時間ほどで寿命を迎えます。しかし、高度方向に大きな風のずれがあると、雲の中の上昇気流と下降気流の位置がずれてしまいます。特に風のずれが大きく、大気の状態が非常に不安定なときには、雲の中には小さな低気圧が生まれ、寿命が数時間にも及ぶことのある巨大な積乱雲になるのです。この巨大積乱雲は「スーパーセル」と呼ばれます。
「スーパーセル」は、雷雨をもたらすだけでなく、強い竜巻を伴うことがあります。竜巻に巻き込まれると、短時間で甚大な被害が発生してしまいます。雲の底に漏斗状の雲が現れたら、竜巻が発生する恐れがあり危険です。すぐに頑丈な建物に避難して、身の安全を確保してください。
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
X・
Instagram・
YouTube文/津田 紗矢佳 Sayaka Tsuda気象翻訳者・気象予報士・防災士。天気や防災をわかりやすく伝える“気象の翻訳者”として活動中。テレビ朝日「スーパーJチャンネル」など出演。絵本『大あらしだ!ハリケーンがやってくる』(福音館書店)の翻訳を担当。
X・
Instagram●参考文献/『雲の超図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、『すごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、気象庁『竜巻から身を守る~気象防災速報(竜巻注意/竜巻目撃)~』URL:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tatsumaki/tatsumaki_202605.pdf、気象庁『竜巻等の突風データベース 月別の発生確認数』URL:https://www.data.jma.go.jp/stats/data/bosai/tornado/stats/monthly.html