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遠州茶道宗家・若宗匠、小堀宗以さんと学ぶ 茶の湯の道を往く 第8回

2026.08.28

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遠州茶道宗家・若宗匠、小堀宗以さんと学ぶ 茶の道を往く 京都・大徳寺での4年間の修行を終え、実家である遠州茶道宗家に戻られた小堀宗以さん。若宗匠の歩みを追う連載の8回目では、茶入と茶碗について教えていただきます。

第8回 茶入と茶碗の奥義を識る

小堀宗以(こぼり・そうい)
1997年に遠州茶道宗家十三世家元長男として生まれる。大学卒業後、大徳寺龍光院で1年間修行。小堀月浦和尚に「宗以」の号を授かる。翌年、僧堂に掛塔し3年間修行。2024年より、遠州茶道宗家若宗匠として活躍。

茶碗「ひづみ高麗」と茶入「高取 下面」を前に、若宗匠に見どころを語る宗実家元。「茶碗は口が1か所だけ薄くなっているでしょう」と、ひづみ高麗の特徴を指し示す。宗家に伝わる名物を手に取って学ぶことも、若宗匠の大切な修業の一つ。

茶碗「ひづみ高麗」と茶入「高取 下面」を前に、若宗匠に見どころを語る宗実家元。「茶碗は口が1か所だけ薄くなっているでしょう」と、ひづみ高麗の特徴を指し示す。宗家に伝わる名物を手に取って学ぶことも、若宗匠の大切な修業の一つ。


茶入と茶碗は、茶の湯を学ぶうえで、まず親しんでいただきたい道具です。茶入は濃茶を入れる陶製の容器で、仕覆と呼ばれる絹の袋に納めて扱います。一方、茶碗はお客様の口に直接触れる器です。ただお茶をいただくためだけでなく、手取りや口当たり、姿かたちの美しさを味わう存在でもあります。


茶入「高取 下面」と仕覆。「有名な茶入には複数の仕覆が付随することがあります」と若宗匠。仕覆は右雲生寺(からうんしょうじ)裂と珠光緞子(じゅこうどんす)の縫い合わせ、紹巴(しょうは)、黄緞(おうどん)。

茶入「高取 下面」と仕覆。「有名な茶入には複数の仕覆が付随することがあります」と若宗匠。仕覆は右雲生寺(からうんしょうじ)裂と珠光緞子(じゅこうどんす)の縫い合わせ、紹巴(しょうは)、黄緞(おうどん)。


茶入には唐物、高麗物、和物などがあり、伝来とともに物語が受け継がれています。また、仕覆の裂地(きれじ)や蓋の意匠には歴代の持ち主の好みが映ります。手に取ると、その道具を愛した人々の美意識や歳月までが見えてくるように感じます。

流祖・遠州公の美意識を知るうえで象徴的な茶入は、遠州茶道宗家に伝わる「高取 下面(しためん)」です。きりっと面取りをした端正な姿と美しい釉景には、遠州流の「綺麗さび」が表れています。華やかさを競うのではなく、凜とした品格によって人の心を惹きつける名品です。

茶碗にもまた、遠州公の美意識を伝えるものがあります。「ひづみ高麗」は、遠州公が朝鮮に注文した四方(よほう)茶碗のなかの一つで、わずかに歪みを持つものでした。しかし遠州公は、その不均整さにこそ魅力を見出しました。整いすぎない姿には、人の心を和ませる力があります。完璧ではないものを受け入れる寛容さもまた、美の一つなのでしょう。

飲み口の4つの角の一つが薄いために歪んだ「ひづみ高麗」。茶入と茶碗はともに「遠州蔵帳」所載の名品。

飲み口の4つの角の一つが薄いために歪んだ「ひづみ高麗」。茶入と茶碗はともに「遠州蔵帳」所載の名品。


茶入や茶碗を識(し)ることは、名物の世界を知るだけではありません。ものを見る眼を養い、一つのものを慈しむ心を学ぶことです。名高い道具に憧れることも大切ですが、その先にある美意識に触れることこそ、茶の湯の醍醐味だと思います。

茶入の箱書は、二世大膳宗慶公。茶碗の箱書は、流祖遠州公。

茶入の箱書は、二世大膳宗慶公。茶碗の箱書は、流祖遠州公。


よいものを見つめ、手をかけ、歳月を重ねる。その喜びは、茶の湯の世界だけでなく、日々の暮らしにも通じています。茶入や茶碗を学ぶことは、審美眼を磨くことなのかもしれません。(談)

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『家庭画報』2026年09月号

家庭画報 2026年09月号

撮影/本誌・西山 航 構成/富川匡子〈emu〉 文/小松めぐみ

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