名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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難読名字:月見里(やまなし)
今年の中秋の名月は9月25日です。一方、満月は9月27日で、中秋の名月と満月が2日もずれるという珍しい年になっています。
さて、中秋の名月とは旧暦の8月15日です。古くから8月の満月は「中秋の名月」として、お供えものをして月見をするという習慣がありました。この名月に因んだのが「月見里」という名字です。文字通り「つきみさと」とも読みますが、もう1つ独特の読み方があります。
ところで、月見をするにはどんな場所がいいでしょうか。現代では、都市部だと高層ビルなどが邪魔をして満月を望むことができないことがあります。
こうした高層の建物がない時代には、満月をさえぎる可能性がある高いものといえば山でした。そこから、「山がなければ月見がよくできるだろう」ということで、「月見里」と書いて「やまなし」と読むのです。
静岡市清水区には月見里(やまなし)笠森稲荷神社があり、現在でも「月見里」名字はこの付近に多くあります。もともと静岡市清水区には「山梨」という名字が多く、このうちの一部が「月見里」と漢字を変えたものなのでしょう。
少し離れたところにある袋井市の山梨地区も古くは「月見里」と書かれることもあったといい、「月見里=やまなし」というのは、かつては難読ではなかったかもしれません。
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森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
墨アート製作 書家・越智まみ(
https://esprit-de-mami.com/)