名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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難読名字:正親町(おおぎまち)
「正親町」という名字があります。代々の公家で、明治時代には伯爵だったという名家ですが、一般的にはあまり知られていません。そして、「正親町」という名字も知らない限りは絶対に読めないもので、これで「おおぎまち」と読む難読です。
戦国時代の第106代天皇に正親町天皇がいました。織田信長と同時代の天皇で、信長に右大臣を宣下したり、信長が蘭奢待(らんじゃたい)※ を切り取るのを許可したりしたのも正親町天皇で、天皇の読み方として知っているという人も多いでしょう。
さて、公家の家名の多くは京都の地名に由来しています。
現在京都市内を東西に通る中立売(なかだちうり)通は正親町通ともいい、かつては平安京の正親町小路でした。正親町家はこの正親町小路に由来しています。
律令制では皇族(おおきみ)の名籍(官位・姓名・年齢などを書き記したもの)を管理する、正親司(おおきみのつかさ)という役職がありました。「正親町」はこの役所があったことに因む地名です。
正親町家は正親町天皇とは直接の関係はありません。しかし幕末には一族から孝明天皇の生母も出すなど、天皇家とは深い関係があります。
なお、現在中立売には正親小学校がありますが、読み方は「せいしん」小学校となっています。
※東大寺正倉院に保管されている香木で「天下第一の名香」と言われ、天皇の許可がないかぎり切り取ることはできなかった
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森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
墨アート製作 書家・越智まみ(
https://esprit-de-mami.com/)