空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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日傘効果(ひがさこうか)
近年、夏は厳しい暑さに見舞われることが多いですが、約30年前の夏は大冷夏でした。平成の米騒動を引き起こす最大の要因ともなったこの大冷夏には、火山の大噴火が関係しています。
火山が大噴火すると、大量の灰や二酸化硫黄が発生し、一気に成層圏まで運ばれます。成層圏内まで吹き上げられた二酸化硫黄は硫酸塩というちりに変化し、成層圏は大気が安定しているために、ちりは大気中を数年間漂い続けます。このちりが太陽光を散乱させるため、地球に届く太陽光が減り、気温が下がってしまうのです。この作用を「日傘効果」といいます。1991年にフィリピンのピナツボ火山が大噴火した際は、この日傘効果の影響で、日本では1992年、1993年と2年連続の冷夏となりました。特に1993年が顕著で、夏の低温と日照不足により米が凶作となり、社会的に大きな混乱が発生しました。
昨今話題となっている地球温暖化も、火山が大噴火すれば解決するのかというと、そうではありません。火山の大規模な噴火による気温の低下は、数年しか続かないためです。地球も私たちと同じで、日傘を使えば暑さをしのげますが、傘をたたむと暑さが戻ってきてしまうのです。厳暑の夏は、日傘や帽子を上手に使って暑さを避ける工夫をしたいですね。
写真/NICT
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/津田 紗矢佳 Sayaka Tsuda気象翻訳者・気象予報士・防災士。天気や防災をわかりやすく伝える“気象の翻訳者”として活動中。テレビ朝日「スーパーJチャンネル」などに出演。絵本『大あらしだ!ハリケーンがやってくる』(福音館書店)の翻訳を担当。
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Instagram●参考文献/環境研ViewLITE『Q火山の噴火で地球が冷える?』国立研究開発法人国立環境研究所URL:https://www.nies.go.jp/kokkanken_view/lite-20240524-2.html#gsc.tab=0、『もっとすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)