空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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夏の北海道に現れるカルマン渦列
島の風下側に対をなして雲の渦巻きができることがあります。「
カルマン渦列(うずれつ)」と呼ばれるこの現象は、主に冬の時期に、九州の西海上に位置する韓国の済州(チェジュ)島や、鹿児島県の屋久島の風下などで見られることで有名です。一方、夏の時期でも、北海道の利尻(りしり)島の風下などで見られることがあるのです。
カルマン渦列は、島の最高標高よりも低い大気層で冷たい風が吹いているときに、島を回り込んだ風が風下で時計回り・反時計回りの渦のペアの列をつくる現象です。気象衛星からは、層雲や層積雲によってこの渦が見えるようになります。北海道付近でオホーツク海高気圧から冷たい風が吹いているとき、利尻島でカルマン渦列が発生しやすくなります。
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カルマン渦列の仕組みについて詳しく読む>>北海道の利尻島は標高1721メートルで、利尻島でカルマン渦列が発生するにはそれより薄い冷たい風が吹くことが必要です。条件さえ整えば、孤立した島ならどこでもカルマン渦列は発生し、2026年5月15日には北海道の渡島大島(標高732メートル)の風下でもカルマン渦列が見られました。
利尻島のカルマン渦列は、その大きさから、地上から雲の渦が見られるわけではなく、衛星画像で見ることのできる渦です。気象庁ウェブサイト「気象衛星ひまわり」や、NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)の「ひまわりリアルタイムWeb」などでは、現在から過去の衛星画像を見ることができます。宇宙からしか見ることのできない渦を見つけて、渦渦(うずうず)してみてはいかがでしょうか。
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/三上 萌々 Momo Mikami気象予報士・防災士。テレビ高知アナウンサーを経て、現在はフリーアナウンサーとして「TBSNEWS」のニュースキャスターなどを務める。防災・減災のため執筆や講演等に取り組み、全国のJリーグクラブを巡り、サッカーと気候変動について啓発活動を行う。
Instagram●参考文献/気象庁『観測画像の紹介 特徴的な雲』URL:https://www.data.jma.go.jp/sat_info/himawari/obsimg/image_cloud.html、気象衛星センター『気象衛星画像の解析と利用(書籍)』URL:https://www.data.jma.go.jp/mscweb/ja/prod/library_book.html、『すごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)