空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
連載一覧はこちら>>
洒涙雨(さいるいう)/洗車雨(せんしゃう)
7月7日は七夕です。天の川を挟んで離れ離れになった織姫と彦星が、1年に1度だけ会うことを許された日。そんな日に降る、涙のような雨は「酒涙雨(さいるいう)」もしくは「催涙雨(さいるいう)」と呼ばれています。
酒涙雨は、旧暦の7月7日に降る雨のことです。その由来は様々あり、「織姫と彦星が天の川を渡れず再会できずに悲しむ涙が雨となって降っている」「二人が別れを惜しむ切ない涙による雨」とも言われています。
実は、織姫と彦星が再会する七夕はもともと、比較的晴天が多く星空を見やすい旧暦の7月7日(例年8月半ばごろ。2026年は8月19日)に行われていた行事でした。国立天文台では、旧暦の七夕を「伝統的七夕」と読んでいます。現在、日本では新暦7月7日が七夕として広まっていますが、梅雨の最中であることが多く、星の見えづらい時期です。織姫と彦星にとっては、旧暦の七夕の方が再会しやすい時期なのかもしれません。
また、旧暦7月6日、七夕の前日に降る雨は「洗車雨(せんしゃう)」と呼ばれ、彦星が織姫に会いに行くための牛車を洗っている水が降っていると言われています。
七夕は織姫と彦星が無事に会えるよう、夜空を見上げてエールを送ってみましょう。雨の多い時期でも、その雨に込められた思いを想像してみると、気持ちが少しは晴れるかもしれません。
写真/PIXTA
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
X・
Instagram・
YouTube文/三上 萌々 Momo Mikami気象予報士・防災士。テレビ高知アナウンサーを経て、現在はフリーアナウンサーとして「TBSNEWS」のニュースキャスターなどを務める。防災・減災のため執筆や講演等に取り組み、全国のJリーグクラブを巡り、サッカーと気候変動について啓発活動を行う。
Instagram●参考文献/『雨のことば辞典』倉嶋厚・原田稔編著(講談社)、『雨を、読む。』佐々木まなび著(芸術新聞社)、国立天文台『伝統的七夕について教えて』URL:https://www.nao.ac.jp/faq/a0310.html