空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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雲峰(うんぽう)
夏の空を見上げると、もくもくと盛り上がる入道雲が、山の峰のようにそびえ立つ姿を目にすることがあります。その頂は「雲峰(うんぽう)」と呼ばれます。
雲峰と呼べるのは、発達中の雄大積雲です。夏の本州では、日中に地上気温が上昇し、内陸に吹き込む湿った海風が山地の斜面で上昇することで大気の状態が不安定化し、雄大積雲や
積乱雲が発達して夕立が起こります。雲峰はまさに入道雲がより上空へと向かっている姿を指すものなのです。
この雲峰は「雲の峰」ともいい、夏の季語としても親しまれてきました。たとえば、松尾芭蕉(1644~1694)が『おくのほそ道』の旅路で残した、こんな句があります。
「雲の峰いくつ崩れて月の山」
月山が月の光にくまなく照らされて、眼前に雄偉な山容を現わしている。昼間立っていたあの雲の峰が、いくつ立ちいくつ崩れて、現れ出た月のお山であるか。(『奥の細道 現代語訳 鑑賞』より)
日中の不安定な大気は夕立によって解消され、雲の峰が鎮まって、晴れた夜空の月明かりに照らされた月山が静かに姿を現すという情景が浮かびます。その対照的な様子から、余計に昼間の雲峰の圧倒的なエネルギーを感じ取ることができます。夏の空では、そんな雲の力強さも感じてみてください。
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/『奥の細道 現代語訳 鑑賞』山本健吉著(飯塚書店)、『風と雲のことば辞典』倉嶋厚監修(講談社)