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遠州茶道宗家・若宗匠、小堀宗以さんと学ぶ 茶花の真髄 第6回

2026.06.25

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遠州茶道宗家・若宗匠、小堀宗以さんと学ぶ 京都・大徳寺での4年間の修行を終え、実家である遠州茶道宗家に戻られた小堀宗以さん。若宗匠の歩みを追う連載の6回目では、茶花のお稽古について教えていただきます。前回の記事はこちら>>

第6回 茶花の真髄

小堀宗以(こぼり・そうい)
1997年に遠州茶道宗家十三世家元長男として生まれる。大学卒業後、大徳寺龍光院で1年間修行。小堀月浦和尚に「宗以」の号を授かる。翌年、僧堂に掛塔し3年間修行。2024年より、遠州茶道宗家若宗匠として活躍。

籠花入に花を入れる若宗匠。「植物の特性を考えながら、自然の景色を写すように入れることを心がけています」。花は横から見たときに45度に見えるように、正面からは茎が1本に見えるように入れるのがポイント。根元は見えないようにする。

籠花入に花を入れる若宗匠。「植物の特性を考えながら、自然の景色を写すように入れることを心がけています」。花は横から見たときに45度に見えるように、正面からは茎が1本に見えるように入れるのがポイント。根元は見えないようにする。


茶花とは、茶室の床の間に飾る花のことで、しつらいの中で唯一、生きている存在です。静かな茶室の中で、ひときわ命の気配を感じさせます。茶花はお客様が床の間の正面からのみ拝見することを前提としているので、その見え方を大切にします。


夏の茶花の一例。手前は桔梗、笹百合、姫百合、蛍袋、麒麟草、河原撫子、紅花、柿蘭(かきらん)、升麻(しょうま)など。後ろは矢筈芒(やはずすすき)、苅萱。3~11種類を目安に、奇数で用いる。

夏の茶花の一例。手前は桔梗、笹百合、姫百合、蛍袋、麒麟草、河原撫子、紅花、柿蘭(かきらん)、升麻(しょうま)など。後ろは矢筈芒(やはずすすき)、苅萱。3~11種類を目安に、奇数で用いる。


大切なのは、自然の姿をそのまま映すように整えることです。たとえば風炉の季節には刈萱(かるかや)のような細い草を添えて遠近や奥行きを生み、隣り合う花の色の調和を見ながら、一幅の景色として整えます。掛物の格に応じて花入を選び、床の間全体の調和にも心を配ります。

家元が見守る中、無心に花を入れる若宗匠。

家元が見守る中、無心に花を入れる若宗匠。


私にとって何よりの稽古は、父である家元が花を入れる姿を、隣で静かに見ることです。多すぎる葉の取り方や枝の矯ため方など、一つ一つの手の入れ方によって、花の個性が引き出される瞬間に、学びを感じます。花の持ち味を生かすことこそ、茶花の本質だと感じております。

また、準備も大切な稽古です。庭に出て、つぼみの大きさや枝ぶりを日々観察し、用いる花を見定める。その積み重ねがあってこそ、茶会当日の花が生きてまいります。花は常に接していなければ、その表情を読み取ることができません。花を手折るということは、その命をいただくことでもありますから、水切りや水揚げを丁寧に行い、最後まで生き生きと在るよう努めます。花は「物」ではなく、「生きもの」ですから、愛情をもって接することが何より大切です。

花は桔梗、笹百合、姫百合、麒麟草、河原撫子、紅花、苅萱の7種。花入は唐物写し牡丹籠。手付きの籠を用いる場合は、正面から見たときに花が籠の“手”の中に収まる高さに入れる。

花は桔梗、笹百合、姫百合、麒麟草、河原撫子、紅花、苅萱の7種。花入は唐物写し牡丹籠。手付きの籠を用いる場合は、正面から見たときに花が籠の“手”の中に収まる高さに入れる。


大徳寺での修行時代、土を耕し作物を育てた経験は、自然に生かされている実感を与えてくれました。「花無心招蝶(はなむしんにしてちょうをまねく)」と申しますように、無心に咲く花の姿には、蝶をおのずと招き寄せる力が備わっています。花を生ける折には、花の立場に思いを寄せ、「花が入れられたいように入れる」ことを心がけてまいりたいと存じます。(談)

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この記事の掲載号

『家庭画報』2026年07月号

家庭画報 2026年07月号

撮影/本誌・西山 航 構成/富川匡子〈emu〉 文/小松めぐみ

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