空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
連載一覧はこちら>>
雷鳴の仕組み
雷にまつわる噂話として、「雷の光が見えてから音がするまで〇〇秒以上あれば大丈夫」などと言われることがありますが、これは誤りです。雷の音、雷鳴が聞こえる場所ではすでに落雷の危険性があります。今回は雷の音の仕組みに迫ります。
そもそも雷は、
積乱雲の中の電気の偏りが解消されるときに起こる放電現象です。放電には、雲と地上の間で起こる落雷(対地放電)のほか、雲の中や雲と雲の間で起こる雲放電があります。これらの放電で「ドーン」「ゴロゴロ」といった雷鳴が発生します。
特に対地放電では、放電経路の空気が瞬間的に約3万℃に達します。これは太陽の表面温度(約6000℃)と比べても極めて高温です。これにより急激に空気が膨張して衝撃波が生まれ、音波となって伝わってくるのが雷鳴なのです。
雷鳴の届く範囲は通常10キロメートルほどですが、「青天の霹靂」といわれるように、実際に落雷は積乱雲の真下だけでなく周囲でも発生します。そのため、雷鳴が聞こえる場所では落雷の可能性があるのです。
もし屋外にいて雷鳴が聞こえたら、すぐに建物内など安全な場所に避難しましょう。音は1秒間におよそ340メートル進むので、雷の光が見えてから音が聞こえるまでの秒数に340をかけると、現在地から積乱雲までのおおよその距離がわかります。距離が近いと停電の可能性も高まるので、建物内にいる場合にも、瞬間停電などに注意しましょう。
●関連記事を読む
・
雷雨のときに木の下で雨宿りをしてはいけない理由。突然の雷にどう備える?
写真/NOAA
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
X・
Instagram・
YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
X・
YouTube●参考文献/フランクリン・ジャパン『雷とは?』URL:https://www.franklinjapan.jp/raiburari/knowledge/lightning/37/、『すごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)、『もっとすごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著(KADOKAWA)