空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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雨脚と雲脚
空をじっくり見上げていると、雲が動いているのが分かります。これは上空の風によるもので、空から降ってくる雨も風で流されます。そんな雨や雲の動きを、昔の人は「脚」という言葉で表し、「雨脚」や「雲脚」という名前をつけました。
雨脚とは、白い糸を引くように勢いよく降る雨を指します。遠くから見ると、雨が柱のように立って見えるため、「雨柱(あめばしら)」とも呼ばれます。また、雨が降りながら移動していく様子も表します。
川端康成(1899~1972年)の『伊豆の踊子』には、「雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた」という一節があります。雨がただ降るのではなく、駆け足で追いかけてくるような印象を与える表現であり、この表現からは、雨の強さだけでなく、動きや速さまで感じさせられます。
一方雲脚は、雲が漂い流れていく様子を表す言葉です。風が強いときに低い空を進む
積雲などは、雲脚を実感できる雲の一つです。高さの異なる雲が重なっている場合には、それぞれの動き方の違いも見比べられ、雲脚をいっそう実感できます。
「雨脚」「雲脚」という言葉を知ると、それぞれの動きが生きもののようにも感じられます。天気にまつわる言葉には、自然を細やかに観察してきた昔の人の感性が息づいているのですね。
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/佐々木 恭子 Kyoko Sasaki気象予報士・防災士。合同会社てんコロ.代表。民間気象会社で予報業務を担当、気象予報士受験生向けのスクール主宰。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。
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YouTube●参考文献/『雨のことば辞典』倉嶋厚・原田稔編著(講談社)、『風と雲のことば辞典』倉嶋厚監修(講談社)