名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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難読名字:部田(とりた)
「部田」という名字があります。初見では「ぶた」としか読めませんが、なかなかそうは読みづらいです。とくに直接相手に話しかけるような場面では困ってしまいます。
この名字、もちろん「ぶた」とは読みません。ではどう読むかというと、実は「とりた」と読むのです。「部」に「とり」という読み方はありませんから、かなりの難読名字と言えます。
では、どうして「部田」と書いて「とりた」と読むのでしょうか。そこにはちゃんと理由があるのです。
なぜ「部田」が「とりた」になるかを説明するためには、まず「服部」から始める必要があります。
「服部」という名字は、ほとんどの人が当然のように「はっとり」と読みます。よくよく考えてみると、「服」に「はっ」という読みはありませんし、「部」に「とり」という読み方もありませんから、本来はかなりの難読名字なのです。しかし、「服部」さんは全国にたくさんいるため、「服部=はっとり」と刷り込まれており、難読名字とは思われていないのです。
そこから、「服部」で「はっとり」と読むのなら、「部」だけなら「とり」と読む、と考えた人がいたらしいのです。
おそらく、元は普通に「鳥田」という名字だったのでしょう。昔は分家した際に漢字を変えるというのはごく普通に行われていたため、鳥田家から分家して名字の漢字を変える際に、「とり」の部分に「部」という漢字をあてたものと思われます。
現在は、岐阜県や北海道に分布します。
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森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
墨アート製作 書家・越智まみ(
https://esprit-de-mami.com/)