空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
連載一覧はこちら>>
ホタルの生物季節観測
水辺で淡い光が点滅し始めると、夏の訪れを感じます。気象庁では1953年から、サクラの開花などと同様に、ホタルの成虫が発光しながら飛んでいるのを初めて見た日を「ホタル初見日」として記録してきました。残念ながら、環境の変化などの理由により、ホタルの観測は2020年をもって気象庁の観測からは外れてしまいましたが、今も初夏の訪れを知らせる風物詩として親しまれています。
ホタルの初見日の平年値は、西日本や東日本では5月中旬から6月上旬ごろ、北日本では6月中旬から7月上旬ごろが多く、地域ごとの季節の進み方を知る手がかりの一つとなっていました。
ホタルが最も活発に飛び交うのは、日没からしばらく経った時間帯です。観測対象の一つとなっていたゲンジボタルの場合、日没からおよそ1時間が発光のピークです。雨の日や風の強い日はうまく飛ぶことができないため、草陰などでじっとして光らないこともあります。静かで風の弱い夜、お住まいの地域でも、初夏の夜に水辺を訪れ、ほのかな光を探しながら季節の歩みを感じてみてはいかがでしょうか。
写真/フォトライブラリー
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
X・
Instagram・
YouTube文/太田 絢子 Ayako Ota気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー。これまでNHK松山やCBCテレビにて気象解説を務め、防災気象情報や地球温暖化に関する講演・執筆活動も行う。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。2023年10月よりアメリカ・ロサンゼルスに在住。
X・
Instagram●参考文献/気象庁『生物季節観測指針』URL:https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/kyu_shishin.pdf、気象庁『生物季節観測の種目・現象の変更について』URL:https://www.jma.go.jp/jma/press/2011/10a/20201110oshirase.pdf、気象庁『生物季節観測累年表』URL:https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/pdf/024.pdf、北九州市『ホタル鑑賞のポイント(注意点)』URL:https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/05101048.html