空を見上げて365 私たちの身近にある空には未知の魅力や不思議が詰まっています。誰かに話してみたくなるような空の世界を、雲研究者の荒木健太郎さんが案内します。一緒に今日の空を見上げてみませんか。
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五月闇(さつきやみ)
「
五月晴れ」が本来は梅雨の晴れ間を指すように、「五月闇(さつきやみ)」もまた、旧暦五月の梅雨どきの暗闇を表す言葉です。家の中の暗さや雨雲の垂れ込めた昼間の暗さに使う場合もありますが、厚い雲に覆われて月や星の光が遮られた夜の暗さを表すことが多いです。梅雨闇(つゆやみ)や夏闇(なつやみ)とも呼ばれ、この季節特有の湿り気を帯びた闇を表現しています。
梅雨前線が日本列島に伸びると、前線の北側を中心として
高層雲や
高積雲、
乱層雲と呼ばれる層状の雲が広がりやすくなります。前線付近や南側では、
積雲や
積乱雲など背の高い雲が発達し、月や星を遮る厚い雲が夜空を覆うことがあります。旧暦5月は「月不見月(つきみずづき)」とも呼ばれます。梅雨の厚い雲に覆われて月が見えないことに由来する呼び名で、まさに五月闇の情景を表した言葉です。
五月闇は、和歌においてホトトギスや蛍など、夜に活動する生き物とともに表現されることもあります。闇が深いほど、こうした初夏の夜の気配はより鮮やかに感じられます。あえて照明を落とし、窓の外に広がる「五月闇」に身を委ね、夜の生き物たちの気配に耳を澄ませてみるのも初夏の夜の楽しみのひとつです。
写真/荒木健太郎
監修/荒木 健太郎 Kentaro Araki雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・学術博士。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲の仕組みを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『マツコの知らない世界』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズなど。
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YouTube文/太田 絢子 Ayako Ota気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー。これまでNHK松山やCBCテレビにて気象解説を務め、防災気象情報や地球温暖化に関する講演・執筆活動も行う。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 天気の話』(日本文芸社)など。2023年10月よりアメリカ・ロサンゼルスに在住。
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Instagram●参考文献/『角川俳句大歳時記 夏』角川学芸出版編集(角川書店)、福岡管区気象台はれるんマガジン『梅雨の時期に大雨を降らせるのはどんな雲ですか?』URL:https://www.data.jma.go.jp/fukuoka/chosa/files/harerun0093.pdf